海外市場の振り返り

10月12日の米国市場では、寄り前に発表された9月CPI(消費者物価)の前月比上昇率が市場予想を上回ったうえ、30年国債入札が低調だったことから利回り曲線全域に渡って米国債の利回りが上昇しました。10年国債利回りは4.70%と、今週に入って低下した分の半分を吐き出す形になっています。米国株式市場では金利低下を好感して上昇してきた公益事業や不動産を中心に株価が下落、主要3指数は揃って下落して引けるなど、依然として金利上昇に対する警戒感が高い様子を示しました。

相場の注目点

米国のCPIは予想外に高い伸びとなりましたが、食品・エネルギーを除いたコア指数の前月比上昇率は市場予想に一致、前年比上昇率は低下していることから10月31日~11月1日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが実施される可能性は依然として限定的です。ただし、インフレ率の減速ペースが予想よりも遅くなればその分政策金利の高止まりが長期化し、長期金利上昇につながることを市場は警戒しています。FRB(米連邦準備理事会)が政策金利としているFF(フェデラル・ファンド)金利の金利先物を見ると2024年12限月の金利は4.70%と、FRBが9月に示した24年末の政策金利見通し(中央値)である5.125%を下回っており、依然として上方修正の余地が残されています。市場が米国のインフレ鎮静化に自信が持てるまでは、景気堅調を示唆する経済指標は政策金利高止まり長期化、長期金利上昇を通じて株価には重石となる展開が続くことが予想されます。

(投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2023年10月13日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

※画像はイメージです。

FINTOS!編集部オリジナル記事

【銘柄ランキング】投資家に買われた「配当利回り3%以上」銘柄は?トップ20を紹介(2023年7-9月分)

【野村の投資判断】10月日銀会合に向けて「銀行株」のキャッチアップが期待される

ご投資にあたっての注意点