海外市場の振り返り

11月1日の米国株式市場では主要3指数が揃って上昇しました。FRB(米連邦準備理事会)は予想通り政策金利据え置きを決定、米国債の発行増額による需給悪化懸念が緩和、弱めの経済指標発表を材料に、米国債はイールドカーブ全域にわたって大幅に低下したことが市場の安心感につながったと見られます。ドル円レートは米金利低下、神田財務官による円安けん制発言もあり、150円台後半で推移しています。市場の米国政策金利見通しの代理変数として先物金利を見ると、年内は金利据え置き、2024年6月前後からの利下げ開始との見方が織り込まれています。

相場の注目点

FRBは2022年3月の利上げ開始後、初めて2会合連続で利上げを見送りました。このため、市場では利上げ打ち止め、早期利下げ開始との見方が高まっています。ただし、パウエルFRB議長は会合後の記者会見でも追加利上げの可能性を否定せず、今後の政策判断は経済データ次第との姿勢を重ねて強調しました。昨日の米国市場は長期金利の低下を好感して株価が反発しましたが、当面の間は、米長期金利の低下基調が定着するかが焦点となりそうです。また、市場では、米国に関しては24年半ばの利下げ開始を織り込む一方で、日本に関しては24年前半にも金融緩和政策見直しとの期待が高まっています。このため、為替市場では年末から来年前半にかけて、日米金利差の縮小が織り込まれる可能性が高まっています。日米金利差縮小は円高ドル安を促す要因となることが予想される一方、日米間では当面の間、無視できない規模の金利差が残存することから、どの程度の円高効果を発揮し得るのかも併せて注目されます。

(投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2023年11月2日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

※画像はイメージです。

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