金融政策決定会合は政策据え置き、サプライズなし

日本銀行は12月19日、金融政策決定会合を終えました。金融政策は、YCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)、マイナス付利、資産買入れのいずれも据え置かれました。野村證券では、今回の決定会合では金融政策が据え置かれると予想していたため、サプライズはありませんでした。

今回の決定会合の注目点は、政策決定ではなく政策コミュニケーションにありました。具体的には、追加緩和が示唆された現行フォワードガイダンスを撤廃するか、賃金・物価の好循環の確度が強まるか、物価の原動力が「第1の力」(輸入物価の転嫁)から「第2の力」(賃金・物価の好循環)にシフトしつつあるか、などが注目されました。

声明文では、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」とのフォワードガイダンスが据え置かれました。また、決定会合後の会見で植田和男総裁は、物価安定の目標の達成に向けた確度は少しずつ高まっているが、政策変更の「閾値」には達していないと述べています。一方、物価については「第1の力」(輸入物価の転嫁)がピークアウトする一方、「第2の力」(賃金・物価の好循環)がサービス価格の緩やかな上昇という形で少しずつ強まっているとしました。

その他、植田総裁は決定会合の間に発表されるデータや各種のヒアリングで得られる情報も使いながら金融政策変更の適否を連続的に判断するため、政策変更がある場合には、一定のサプライズは避けられないと述べました。今回の決定会合および総裁会見を踏まえて、野村證券では2024年1月のマイナス付利撤廃、同年4-6月期(4月を有力視)のYCC撤廃というメインシナリオを維持します。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート「日本銀行金融政策決定会合 – 「物価安定の目標」の確度は少しずつ上昇するも、「閾値」には達せず(2023年12月19日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)各種データや見通しは、要約編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
(出所)野村證券経済調査部などより野村證券投資情報部作成

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