海外市場の振り返り

25日はクリスマスで欧米市場は休場でした。日本では、植田日銀総裁が講演で「物価2%目標の持続的・安定的な達成に向けて確度は少しずつ高まってきている。実現する確度が十分に高まれば金融政策の変更を検討していく」と述べました。特に目新しい材料はなく、為替、債券市場への影響は限定的でした。

相場の注目点

歴史的な高インフレに直面したFRBは、2022年3月に利上げを開始し、急速なペースで利上げを継続してきました。FRBの想定以上にインフレが加速したことは否定できず、その意味で金融政策は「バックワード・ルッキング」(経済の足元の動きを重視)に軸足を置いてきたと言えます。インフレのピークアウトを迎えた今、金融政策は「フォワード・ルッキング」(経済の先行きを重視)へ転換しつつあります。最近のFRB高官の発言に「利下げ」という言葉が散見されるのはその証左でしょう。つまり、米国経済がソフトランディングできるよう、適宜利下げを実施してゆくものと予想されます。とは言え、インフレターゲットの2%までは未だ距離があり、市場の利下げ期待が先行して長期金利が大幅に低下するような状況は避けたいところでしょう。因みに、2023年12月FOMCで示された参加メンバーの2024年末のFFレート予想中央値は4.625%ですが、FF金利先物市場での同時点の予想値は3.85%です。このギャップが市場のボラティリティー(変動性)の材料となることが予想されます。

2024年の年明けには早速、重要統計が発表されます。1月3日には2023年12月ISM製造業景気指数、5日には12月雇用統計(非農業部門雇用者数の市場予想:前月差+16.8万人(11月同+19.9万人)・平均時給の市場予想:前年比+3.9%(11月同+4.0%))、12月ISMサービス業景気指数が発表されます。3日には米国議会の新会期がスタートします。

(投資情報部 佐々木 文之 )

(注)データは日本時間2023年12月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

※画像はイメージです。

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