海外市場の振り返り

8日の米国株式市場では、主要3指数が揃って続伸しました。S&P500株価指数も3営業日連続で上昇したものの、終日方向感に乏しい展開となりました。米国債市場では30年国債入札を無難にこなしたものの、債券市場では買いの勢いは続かず、長期国債を中心に利回り曲線全域にわたって金利が上昇しました。8日は主要3指数が過去最高値圏で推移するなか、米国株を買い上がる目立った材料もなく、本日発表のCPI(消費者物価)の年次改定に対する警戒感から様子見ムードが強まったと見受けられます。ただし、米国市場では連日、金利上昇下でも株高が続いており、金融相場から業績相場への転換を示唆する動きとして注目されます。

相場の注目点

米国では2月13日(火)に24年1月のCPI統計の発表を控える中、本日はCPIの年次改定値が発表されます。昨年の年次改定では22年10-12月のコアCPI(除く食品・エネルギー)の年率換算値が+3.1%から+4.3%へ上方修正された結果、市場ではインフレを巡るトーンが突然変化し、金利見通しも上方へシフトしました。通常はここまでの変化は稀ですが、FRB(米連邦準備理事会)で利上げ議論を牽引してきたウォラー理事が1月16日の講演で、「1年前のことを思い出せば、インフレ率が急速に鈍化しつつあるように見えていたのに、季節要因の年次改定の結果、進展が消し去られた経緯がある」と発言し、年次改定の結果を注視していることを示しました。景気の堅調推移を背景に金利上昇への耐性を高めているという株式市場の見方とは異なり、インフレ見通しの上方修正に伴う金利上昇は株安材料視される可能性が高いため注意が必要です。

(投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2024年2月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

※画像はイメージです。

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