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2024年8月前半は日本株を中心に波乱の相場展開となりましたが、株式市場は徐々に平穏を取り戻しつつあります。月初に歴史的急落に見舞われた日経平均株価でさえ、月末にかけては巻き返し、8月月間の騰落率は1.2%安にとどまりました。こうした中、NYダウは8月26日に早くも7月に付けた史上最高値を更新し、さらに上値を試す展開を見せています。一方、ナスダック総合指数は7月の史上最高値まではまだ距離を残しており、相対的に戻りが弱い印象です。

ファンダメンタルズ的には、昨年来のナスダック総合指数の上昇を牽引した生成AI関連企業や関連セクターへの成長期待の高まりには、やや行き過ぎた部分があったと言えそうです。株価下落とその後の戻りのもたつきは、市場参加者の投資ポジションの偏りが修正を迫られた結果でしょう。とはいえ、チャート面から見て今回の株価下落はトレンド転換につながるような動きには発展しておらず、長期株価上昇時に何度かある短期調整との位置づけが妥当と判断されます。

前回の長期上昇局面(2020年3月~21年11月)との比較を中心に見てみましょう(下図)。第一に、今回の高値から安値までの株価下落率は13.1%にとどまっています。2020年以降の同様の短期調整時①~⑥の下落率レンジ(7.1~12.3%)をやや上回っていますが、ほぼ同等の規模の調整とみなせます。弱気相場入りの目安とされる20%を超えてはいません。第二に、今回の株価下落時では、株価上昇時に下値サポートとして機能していた26週移動平均線を一時的に下回りましたが、早期での奪回を果たしています。第三に、今回の株価下落時では、最重要の52週移動平均線を割り込みませんでした。前回の上昇局面では、2021年11月高値形成後に52週移動平均線を割り込んだことが下降相場入りのサインとなりました。

アノマリー的には鬼門の9月相場には注意が必要ですが、中長期トレンドを指し示す26週や52週移動平均線は上向きをキープしています。今回の株価上昇率はここまで83%ですが、前回上昇時の134%と比べれば、株価の上昇余地は十分残っていると言えそうです。ナスダック総合指数の出遅れ修正に期待します。

テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。
また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。

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(注1)直近値は2024年9月4日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成

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