- 日経平均株価、約34年ぶり史上最高値更新、大波乱を乗り越え2桁の上昇率を記録
- 日銀、マイナス金利解除を決定、10年国債利回りは約11年ぶり1%台に
- 米国大統領選挙、共和党のトランプ氏が勝利し、減税や規制緩和への期待高まる
2024年の日経平均株価は、円安や米国株の上昇を受けて年初から上昇基調となり、2月22日には約34年ぶりに史上最高値を更新しました。このような動きは、脱デフレや企業改革の進展、新NISA制度のスタートといった大きなうねりの中での歴史的な瞬間と言えるでしょう。
もう一つの大きな転換点は、3月19日に日銀が発表したマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除決定です。長期金利(日本10年国債利回り)は5月に約11年ぶりに1%台となりました。これらの金利上昇は日本株の重荷となりましたが、米国株の上昇もあり、日経平均株価は7月11日に42,224円(終値ベース)へ上昇しました。
24年夏、うだるような暑さが続く日本列島でしたが、金融市場は冷や水を浴びせられるような厳しい状況に見舞われました。7月31日に日銀が追加利上げを行い、円キャリートレード(円で資金調達し、外貨などで運用する取引)の解消が円高を加速させました。さらに、米国で発表された弱い雇用統計から景気減速の懸念が広がり、米国株が下落しました。そして、8月5日に日経平均が前営業日比4,451円安という歴史的急落を記録したのです。翌日には大幅反発となる等、しばらくは振れ幅の大きい動きが続きました。その後、徐々に落ち着きを取り戻し、10月中旬には一時4万円台を回復する場面もありました。
秋は政治面で大きな変化がみられました。10月27日の衆議院選挙で連立与党の自民・公明両党が議席を大幅に減らし、少数与党となりました。また11月の米大統領選挙では、共和党のトランプ氏が勝利しました。減税や規制緩和への期待で米国株は上昇基調となりましたが、日本株は関税強化の懸念から上値を抑えられ、11月末を迎えました。
24年の日経平均株価の上昇率は11月末時点で14.2%となり、2年連続で二桁の上昇率となりました。
テーマ面では、「生成AI」利用が一般企業に広がる中、半導体関連企業に加えて、海外では世界的なソフトウェア企業やクラウドサービス企業にも注目が集まりました。日本では、日銀のマイナス金利解除を受けて、長期金利上昇期待が高まり、「金融」に関心が集まりました。そして10月には石破首相が誕生し、「防災」や「防衛」への注目が寄せられています。2024年、物言う株主(アクティビスト)の活動が活発化する中、企業は株主や投資家目線での経営にさらに注力することが求められています。2025年、日本株や日本経済が次の段階へと進化できるかが注目されることでしょう。
図表1: 2024年 主要アセット年間騰落率(11月末時点)
(注)騰落率は昨年末からの年間パフォーマンス、直近値は2024年11月末時点。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成
図表2: 市況概況<2024年> 日米株価・ドル円相場と主な出来事
(注)直近値は2024年11月末時点。 ドル円相場は日銀公表値。株価の高値・安値の表記は、日経平均、NYダウは終値ベース、ドル円はザラ場ベース。為替介入の日付は報道ベース。
(出所)各種データより野村證券投資情報部作成
(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)
※野村週報 2025年新春特別号「市況概況<2024年>」より
※こちらの記事は「野村週報 2025年新春特別号」発行時点の情報に基づいております。
※画像はイメージです。