
来週の注目点:FRB高官発言、米中関税協議、日本のGDP統計
米国ではホワイトハウスへの権力一極集中への懸念が高まっています。8月1日に発表された米国の7月雇用統計は過去2ヶ月分が26万人近く下方修正され、直近3ヶ月平均で雇用者数が3.5万人程度しか増えていないというショッキングな結果でした。同統計発表後、トランプ大統領は労働省労働統計局のマッケンターファー局長を解任しました。また、FRBではクーグラー理事が突然辞任しました。ベッセント財務長官は6月30日、同氏の後任に将来的にFRB議長に昇格させる人物を指名する案があると述べています。後任候補は大統領が指名し、上院で承認されます。財務長官が言及した案が実現すれば、パウエルFRB議長は26年5月の任期満了を待たずにレイムダック化するとの見方から、早期利下げ観測につながる可能性が高まりそうです。
米国では今週も複数のFRB高官の講演が予定されています。7月雇用統計の結果を受けて、政策姿勢の変化の有無が注目されます。また、11日(月)には中国に対する相互関税の上乗せ分の猶予期限を迎えます。米中閣僚級協議ではトランプ大統領が承認すれば90日間再延長することで合意ができているようです。
経済指標では12日(火)に7月消費者物価指数、14日(木)に7月生産者物価指数、15日(金)に7月小売売上高や8月ミシガン大学消費者マインド速報値など、金融政策への影響が大きく、関税の影響を確認するうえでも注目度の高い指標が発表されます。

日本では15日(金)に4-6月期の実質GDP1次速報値が発表されます。2四半期連続のマイナス成長は回避される見通しです。

中国では15日(金)に7月小売売上高、7月鉱工業生産、1-7月固定資産投資・不動産投資が発表されます。野村證券では、中国経済は25年末にかけて減速感を強めていく可能性が高いと予想しています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)
(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月8日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
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