
FRBは9月16日(火)-17日(水)にFOMCを開催し、大方の予想通り政策金利を0.25%ポイント(pt)引き下げ、4.00-4.25%としました。今回の決定に唯一反対したミラン理事は、0.5%ptの利下げを主張しました。パウエル議長は利下げ決定の理由として労働市場の下振れリスクを挙げたうえで、今回の利下げを「リスク管理」の調整と位置付けました。また、同時に公表した政策金利見通し(中央値)では、25年中に追加で0.5%ptの利下げが示されましたが、FOMCメンバー19名中9名が0.25%pt以下の利下げ見通しを示したことを踏まえると、FRB内の政策姿勢が大きく利下げ方向に傾斜した訳ではなさそうです。
今週は多くのFRB高官の講演が予定されています。26年5月にパウエル議長の議長としての任期満了を控えて、トランプ大統領は理事会メンバーの人事に積極的に関与しています。ただし、大統領には地区連銀総裁の指名権は付与されていないことから、各地区連銀総裁の政策姿勢やターミナルレート(政策金利の着地点)に対する見解が注目されます。
米国では、24日(水)に8月新築住宅販売件数、25日(木)に8月中古住宅販売件数、26日(金)には8月個人消費支出・所得統計とFRBがインフレ指標として注目しているコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターが発表されます。米国では8月小売売上高は好調だったものの、中低所得層の購買力は低下しているとの見方もあり、結果が注目されます。

日本では22日(月)に自民党総裁選挙が告示され、10月3日まで総裁選が行われます(10月4日投開票)。総裁交代に伴い、経済政策や政権の枠組みが変わる可能性があることから、各候補の財政政策姿勢や成長戦略に対する市場の関心が集まっています。

その他、注目度の高い指標としては、23日(火)に米国と欧州(HCOBユーロ圏)、24日(水)には日本で9月S&PグローバルPMI速報値の発表が予定されています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)
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