来週の注目点:ソフトランディングかハードランディングか、米雇用統計に注目

この先の米国経済は、インフレを抑制しつつ景気後退を回避するソフトランディング(軟着陸)か、景気後退に陥るハードランディング(硬着陸)か、市場の見方は揺れ動いています。想定外に強い景気とインフレ圧力の継続を示唆する経済指標が続いてハードランディングが懸念された2月から、足元の経済指標は強弱まちまちです。米国では、8日(水)に2月ADP全米雇用レポートと地区連銀経済報告(ベージュブック)、10日(金)に2月雇用統計が発表されます。求人数が高水準の中で、労働需給のひっ迫度合いが幾分緩和しているのか注目が集まります。また、7日(火)及び8日(水)にはパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による半期に一度の議会証言が行われます。FRBの経済見通しや今後の政策方針が明らかにされる見込みで、注目されます。

中国では、3月5日(日)に開幕する全人代(全国人民代表大会、国会に相当)に向けて政策期待が高まっています。2022年12月の中央経済工作会議で優先課題とされた内需拡大策、民間企業への支援、低迷する住宅市場のてこ入れ策などに注目が集まります。また、7日(火)には、1-2月貿易統計が発表されます。

日本では、8日(水)に2月景気ウォッチャー調査が発表されます。対面型サービス業を中心に非製造業の景況感の改善が継続し、減速感のある製造業との乖離が続く可能性があります。

また、日銀の政策修正への期待が強まる中、10日(金)に日銀金融政策決定会合の結果発表及び黒田総裁の任期最後の定例記者会見が行われます。今会合での政策修正を予想する向きは少数で、新総裁の下で6月にイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正に動くとの見方が強まっています。YCCの修正期待によって、国債利回りに上昇圧力が掛かれば、円高圧力が強まる可能性があります。

(投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年3月3日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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