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2023/10/31 16:39
【イブニングFINTOS!】日銀会合で、日経平均株価は上下荒い値動き(10/31)
本日の株式市場 30日23時頃に、日銀が金融政策決定会合で長短金利操作を再修正するとの観測が報じられました。米国市場で、日本の金利上昇による米日金利差縮小への思惑から円高・米ドル安が進みました。米国株高とこれら懸念材料が拮抗し、本日の日経平均株価は前日比2円安の30,694円で取引を開始しました。取引開始直後、新発10年物国債の利回りが約10年ぶりの高水準となる0.955%まで上昇しました。長期金利の上昇が嫌気され、日経平均株価は下げ幅を広げ、一時前日比144円安の30,552円をつけました。しかし、後場寄り前に日銀会合の結果、長短金利操作の再修正が発表されると政策内容の評価を見極めようと株価の変動が大きくなり、日経平均株価は上昇に転じて前日比276円高まで上げ幅を広げました。結局、日経平均株価は前日比161円高の30,858円と反発して取引を終えました。 個別銘柄では、前日の決算発表が不調だったパナソニックが前日比-8.90%、米国半導体株の下落を受けて関連株が大きく下げる一方、取引時間中に好調な決算を発表した関電工が同+7.21%と大きく上昇しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【ユーロ圏】・7-9月期実質GDP速報値(前期比) 前回:+0.1% 予想:0.0 %・10月消費者物価指数(HICP、前年同月比) (総合)前月:+4.3% 予想:+3.1% (コア)前月:+4.5% 予想:+4.2% 【米国】・7-9月期雇用コスト指数(前期比) 前回:+1.0% 予想:+1.0%・10月シカゴ購買部協会PMI 前月:44.1 予想:45.0・10月消費者信頼感指数(コンファレンスボード、総合) 前月:103.0 予想:100.5 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/31 14:09
【速報・解説】日銀がYCC運用の更なる柔軟化を決定
日銀政策決定会合:YCC(長短金利操作)の運用の更なる柔軟化を決定 日本銀行は10月30、31日に金融政策決定会合を開催し、7月会合に続いてYCC(長短金利操作)の運用を更に柔軟化することを決定しました。具体的には、10年国債利回りの誘導目標を従来通り0%程度としつつ、その上限の目途を0.5%から1.0%へと引き上げました。その上で、「指し値オペの利回りは、金利の実勢を踏まえて、適宜決定する」としました。声明文では、今後の政策運営の指針を示すフォワードガイダンスに修正はありませんでした。7月会合では上限の目途は0.5%に据え置いたものの、指し値オペの水準を1.0%とすることで事実上、許容変動レンジの上限を引き上げました。今回の変更は10年国債利回りが上限の1.0%近傍まで上昇する中で政策対応の柔軟性を高め、「日銀の国債購入が過度に膨らむ」、あるいは「イールドカーブが極端に歪む」といった副作用の緩和を意図したものと理解できます。 同時に公表された展望レポートでは、コアCPI(消費者物価(除く生鮮食品))の見通しが2023年度が前年比+2.8%(前回7月同+2.5%)、24年度が同+2.8%(同+1.9%)、25年度は同+1.7%(同+1.6%)へそれぞれ上方修正されました。インフレ見通しの上方修正自体に違和感はありません。24年度の見通しを大幅に引き上げた理由として日銀は「原油価格の上昇と経済対策による押し下げの反動等」と解説しています。また、25年度の見通しも同+1.7%と2.0%の物価安定目標の「持続的・安定的な実現」には微妙な見通しであることから、日銀は必ずしもインフレ基調の変化に自信を深めている訳ではないようです。 今回の政策変更、インフレ見通しの上方修正ともに日本経済新聞などで事前に報じられていたことから意外感はありません。ただし、市場ではYCC運用柔軟化に関して「金融政策の正常化に向けた地ならし」と言った見方と、「より粘り強く金融緩和を継続するための措置」との、両面の見方がありましたが、今回の政策変更、声明文、インフレ見通しはいずれの解釈も否定するものではなかったと言えます。また、市場の一部には「円安対策としての政策変更」との思惑もありましたが、今回の決定を受けて為替市場では再び円安が進行しています。これらの点を踏まえて、本日15時半から予定されている記者会見で、植田日銀総裁が今回の運用柔軟化の意図をどのように説明するかが注目されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/31 12:00
【#シリコンウエハー】AI抽出15銘柄/SUMCO、信越化学、フェローテック…
信越化学がシリコンウエハーの需要底打ちの可能性に言及 信越化学工業(4063)の決算発表で、会社側は顧客のシリコンウエハーの在庫が依然として過剰であると指摘しましたが、メモリーのビット成長(記録容量ベースの成長率)が最近急速に回復しているため、シリコンウエハーの全体的な需要は2023年7-9月期に底を打つと見込んでいると言及しました。仮に今後、シリコンウエハーへの需要が増加した場合、日本企業にどのような影響を与えるのでしょうか。AI「xenoBrain」は、「半導体ウエハー需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ニューストピック:半導体ウエハー需要増加 「xenoBrain」は、シリコンウエハーの主要メーカーだけでなく、製造に関連する機器を取り扱っている企業など、合計で15銘柄をリストアップしました。 ・SUMCO・信越化学工業・フェローテックホールディングス・日東電工・ミスミグループ本社・上村工業・レーザーテック・栗田工業・オルガノ・信越ポリマー・トリケミカル研究所・トクヤマ・OBARA GROUP・東海カーボン・セントラル硝子 ※xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)時価総額500億円以上の銘柄を表示している。xenoBrainのデータは2023年10月31日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/31 09:30
【テーマ銘柄】家庭用ゲーム市場で構造変化が加速、ダウンロード販売と知的財産を強化
家庭用ゲーム市場における2つの構造変化 近年の家庭用ゲーム市場では、①従来の小売店を経由するパッケージ販売からインターネット経由でのDL(ダウンロード)販売の急速な普及、②IP(知的財産)をゲームだけにとどめず映像コンテンツやカードゲーム、アミューズメント施設など他領域への展開によるIP価値向上、という2つの大きな構造変化が加速しています。 『DL販売比率の上昇』が収益性の向上に寄与 家庭用ゲーム機を手掛けるソニーグループのDL販売比率は、2017.3期の27%から2023.3期には67%まで上昇しています。 DL販売の場合、ソフトメーカー各社は、PlayStation StoreやMy Nintendo Storeなどのオンラインストアを通じて販売を行うため、従来小売店へ支払っていたインセンティブが不要となります。また、オンラインストア上では、これまで中古ソフト市場で取引されていた旧作をソフトメーカーが直接販売することができます。 ソフト開発費用がすでに計上されている旧作の販売増加は、ソフトメーカーの収益性向上に寄与しています。 (注)ゲームソフト関連企業の売上高営業利益率は、コーエーテクモHD、バンダイナムコHD、任天堂、スクウェア・エニックス・HD、カプコン、コナミグループの合計から算出。HDはホールディングスの略。(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成 『IPの多領域展開』が収益の多層化につながる IPを多領域に展開して成功した事例としては、任天堂のポケットモンスターが挙げられます。アニメやカードゲームなどに展開したことで、IPから得られる収益の多層化が進展したほか、顧客との接点が増加し、ファン獲得にもつながりました。 2023年8月には、横浜でポケモンバトルの世界大会にあわせて大規模なイベントが開催され、国内外から多くの観客を集めました。こうした取り組みの結果、ポケットモンスターの販売本数は、シリーズを重ねるごとに増加傾向がみられています。 IPの重要性が高まるなかで、ゲーム関連企業の中にはM&Aを通じて、IPの獲得や強化を進めようとする動きもみられています。 (注)各タイトルを発売した四半期を含む4四半期合計本数。発売後1年未満の作品は直近の累計本数を記載。外伝作品やリメイク作品等を除く主要シリーズ作品を列挙しており、シリーズ名は省略して記載。各シリーズ左から時系列にタイトルを表記している。全てを網羅しているわけではない。(出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 ご参考:ゲーム(家庭用ゲーム機・ゲームソフト)関連銘柄の一例 (家庭用ゲーム機) ・ソニーグループ(6758) ゲーム機「PlayStation」のハード、ソフト、ネットワークサービスを展開する。また、「グランツーリスモ」や「ゴッド・オブ・ウォー」などの人気IPを有する。 ・任天堂(7974) ゲーム機「Nintendo Switch」のハードやソフト、ネットワークサービスを展開する。また、「マリオ」や「ポケットモンスター」、「ゼルダ」、「どうぶつの森」などの人気IPを有する。 ・マイクロソフト(A2218/MSFT US) ゲーム機「Xbox」のハードやソフト、オンラインサービスを展開する。「マインクラフト」など人気ゲームも展開しており、クラウドゲームにも注力している。 (ゲームソフト) ・コーエーテクモHD(3635) 「無双」や「三国志」シリーズなどが代表作で、歴史題材のソフトに強みを有する。 ・バンダイナムコHD(7832) 「ガンダム」や「ドラゴンボール」などの人気IPを有しており、ゲーム中心に多領域に展開を進める。 ・KADOKAWA(9468) 傘下フロム・ソフトウェアが手掛ける「ELDEN RING」などが人気を有する。 ・スクウェア・エニックス・HD(9684) 「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」などのRPGを中心に人気IPを有する。 ・カプコン(9697) 「バイオハザード」、「モンスターハンター」、「ストリートファイター」などのIPを有する。 ・コナミグループ(9766) 「遊戯王」や「プロ野球スピリッツ」、「メタルギアソリッド」等の人気IPを有する。 ・エレクトロニック・アーツ(A1433/EA US) 人気サッカーゲーム「FIFA」などのIPを有し、スポーツゲームに強みを持つ。 ・テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア(A3983/TTWO US) クライムアクションゲーム「Grand Theft Auto」やアクションアドベンチャーゲーム「Red Dead Redemption」などを展開する。 ・ネットイーズ ADR(A4214/NTES US) 傘下「NetEase Games」がオンラインゲーム「荒野行動」などを展開する。 ・テンセントHD(Z1508/700 HK) 「Ring of Elysium」や「League of Legends」などの人気IPを展開する。 (注1)全てを網羅しているわけではない。(注2)HDはホールディングスの略。外国株式のコードは、野村コード/ブルームバーグコード。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 金井 一宜) ※画像はイメージ。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/31 08:42
【モーニングFINTOS!】ストライキ終結や良好な決算が追い風に(10/31)
海外市場の振り返り 30日の米国株式市場で、NYダウは4営業日ぶりの上昇となり、主要3指数はそろって上昇しました。この日は、米国完成車メーカーのストライキ終結や良好な決算発表などが市場の追い風となりました。 相場の注目点 今週は、米国時間11月1日に11月FOMCの結果が公表されます。11月FOMCにおける政策金利については、据え置きとの見方が大勢です。市場の関心は、12月12日・13日に行われる12月FOMCの政策スタンスに移っていると思われます。11月のFOMCは、FRBの経済予測やいわゆるドットチャートと呼ばれるFOMC参加者の今後の政策金利見通しが公表される会合ではありません。11月FOMCの結果が発表された際には、声明文に加え、パウエル議長の会見などを通し、FRBの現状認識が注目されます。今週はFOMC通過後も、3日に米国10月雇用統計や米国10月ISMサービス業景気指数など、重要な経済指標が発表されます。市場の関心は次回会合以降の金融政策に移っているとみられることから、これらの経済指標の内容によっては金融政策への思惑から、株式市場が反応することも考えられます。 本日のイベント 本日、昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果発表が行われます。野村證券では、YCC(イールドカーブ・コントロール)やマイナス付利などの金融政策の変更は無いと予想していますが、一部報道では、YCCの再修正を議論し、1%の長期金利の上限を柔軟化して一定程度1%を超える金利上昇を容認するとの観測がでています。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2023年10月31日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【11月の投資戦略】短期的な米政治リスクの決着後、株価は復調へ 【注目トピック】中東情勢が緊迫化も原油価格への影響は限定的か ご投資にあたっての注意点
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2023/10/30 20:00
【今週の米国株】下げ止まらぬ株価、FOMCはストッパーにならず(10/30)
先週:波乱含みの企業業績と地政学リスク 前週に一時16年ぶりの5%台に乗せた米長期金利(10年国債利回り)は、先週末(27日,金)に4.8%台とやや落ち着きを取り戻しました。しかしながら、株価に下げ止まりの兆しはありません。 一つの理由として、本格化する企業決算発表が市場の期待ほどには好調に推移していない点があります。 以下は10月13日(金)時点のS&P 500指数構成企業のポジティブサプライズ比率(注1)です。この統計では6-8月期の企業決算も含むため、既に32社が発表されたとみなされています。この時点では、全体の87.5%が純利益ベースで市場予想を上回る決算を発表していました。 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2023年7-9月期には、2023年6-8月期決算、2023年8-10月期決算企業も含む。 (注2)直近4四半期平均とは2022年7-9月期~2023年4-6月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。 (注3)LSEG(旧リフィニティブ)による2023年10月27日時点(売上高について32社、純利益について32社)の集計。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 しかし、S&P500指数構成企業の半数近くが発表を終えた10月27日(金)時点では以下の通りとなっています。 (注)LSEG(旧リフィニティブ)による2023年10月27日時点(売上高について245社、純利益について244社)の集計。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 純利益ベースで市場予想を上回る決算を発表した会社の比率は全体の77.6%まで低下しています。依然として直近4四半期平均の73.6%を上回っていますが、サプライズ比率の低下が市場のセンチメント悪化につながった可能性があります。クラウド事業の売上高が市場予想を下回ったアルファベットの株価が決算発表翌日に前日比10%近く下落するなど、最大手7社の中でも明暗が分かれています。 加えて、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻への警戒が高まり地政学的リスクも意識されました。原油価格上昇→金利上昇→株価下落、といった金融市場への影響は現時点では限定的ですが、米企業業績に与える影響には引き続き注視が必要です。25日(水)に決算を発表したメタ・プラットフォームズの2023年10-12月期売上高見通しは市場予想を下回りました。当社は決算説明会で、10月に中東で紛争が勃発して以降、広告収入が軟調になっている点を挙げています。 Point1. 企業業績、発表後半戦で巻き返しなるか 7-9月期決算発表は折り返し地点を迎え、後半戦に差し掛かります。野村證券の池田チーフ・エクイティ・ストラテジストは、先週までの決算発表を受け「苦戦が目立つのが不動産、インダストリアル(特に運輸)、テクノロジー(特に情報サービス)の3業種。逆に、素材(化学、鉄鋼など)は上振れ優位。素材業種の業績改善は、中国景気のボトムアウトにも助けられているとみられる」と分析しています。個別銘柄を保有する投資家にとっては、セクターや銘柄の選別も重要な局面となりそうです。 今週は、30日(月)にマクドナルド、31日(火)にAI向け半導体でエヌビディアと競合するアドバンスド・マイクロ・デバイセズ、1日(水)に素材のアルベマール、2日(木)にアップルと、業界を代表する企業の決算発表が相次ぎます。 先週発表された米7-9月期GDP速報値は市場予想を上振れたものの、内訳では設備投資が前年同期比マイナスとなったことがネガティブ・サプライズでした。金融引き締めが企業の設備投資意欲に悪影響を与え始めた可能性も示唆されます。こうした懸念を払しょくし市場予想を上回る決算発表が続けられるかが、今週の米国株にとってのポイントとなりそうです。 Point2. 米長期金利が変える金融政策 高い長期金利が「利上げ見送り」を後押し 米国株を左右するもう一つの大きな要素が長期金利(金利上昇は株価下落の一因)ですが、足元でFRB(米連邦準備理事会)関係者から長期金利を重視する発言が相次いでいます。 米国野村グループの雨宮シニア・エコノミストによれば、「タームプレミアム(長期金利に対する上乗せ金利)と政策引き締めの間には一定のトレードオフ(相殺関係)がある。最近の長期金利上昇は、0.25%ポイントの利上げが1回ないし2回行われたのと同等の引き締め効果をもつと推定される」と分析しています。 これに従えば、年内のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ見送りの可能性は高まっているとみられ、金利上昇による株価下押し圧力を、利上げ観測の後退による株価下支え効果が打ち消していくと考えられます。 1日(水)の「リファンディング」発表に注目 今後の長期金利を考える上では、リファンディング(米国債発行計画四半期会合)の発表が注目されます。特に、1日(水)に公表される11・12・1月分の具体的な年限別発行額は市場にとって重要です。前回(8月)のリファンディングでは市場予想を上回る米国債の増発が決定され、それ以降米金利の上昇が強まりました。今回も、前回と同様のペースでの利付債増発が決定されると見込まれます。 今回の増発の年限構成が前回と同様となれば追加的に金利上昇のリスクがある一方、長い年限での増発ペースの鈍化が示唆される場合には、材料一巡から金利は低下すると想定されます。 Point3.FOMCより経済指標 11月1日(水)に発表されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では据え置きが市場のコンセンサスとなっています。このため、市場の関心は今後の政策スタンスに関するパウエルFRB議長の発言に集まっています。11月FOMCは9月や12月のFOMCと違い、ドットチャート(参加者による政策金利の見通し)の発表がなく、金融政策の先行きを予測するヒントは多くないとみられるためです。むしろ、金融政策の判断基準となりうる10月雇用統計と10月ISMサービス業景気指数(ともに3日(金)に発表)に市場の関心が集まると見られます。 中東情勢や長期金利上昇に出口が見えない中で株価反発の材料は見出しづらいですが、まずは堅調な企業業績・見通しの銘柄に注目し、投資対象を見極めていく局面と考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/30 16:56
【イブニングFINTOS!】日経平均株価 反落 中東情勢の悪化懸念が重石(10/30)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前週末比328円安の30,663円で取引を開始しました。週末にイスラエルのネタニヤフ首相がガザ地区への攻撃を強化する考えを示したことで、中東情勢悪化への懸念が高まり、株式市場の重石となりました。寄付き後は概ね30,600円台近辺で一進一退となりました。後場に入っても、新たな材料に乏しい中、今週は日米で金融政策の発表があることから様子見姿勢が広がり、前場と同水準でのもみあいが続きました。結局、この日の日経平均株価は前週末比294円安の30,696円と反落して取引を終えました。 個別では、前週末に決算発表をした企業が大きく動きました。信越化学工業は2023年4-9月期営業利益が市場予想を上回ったことが好感され、株価が前週末比+4.39%となりました。一方で、日野自動車は2024.3期の業績見通しを下方修正したことが嫌気され、株価は同-18.66%となり、オムロンも同じく業績予想を下方修正したことが嫌気され、株価はストップ安水準の同-15.82%となりました。 本日発表予定の海外経済指標等 本日は特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/30 15:30
【新産業紹介】DACCSの実用化に向けて米国が本格始動
地球温暖化対策の切り札として、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する新技術「DACCS」が注目されている。 地球温暖化の影響が年々深刻化し、温暖化対策の緊急性がかつてないほど高まっている。2023年夏は、日本だけでなく、世界全体でも観測史上最も暑い夏だった。同年8月には、産業革命以降における世界平均の温度上昇幅が約1.5℃に到達したことが報告されている。 地球温暖化の主因であるCO2を大気から直接除去するネガティブエミッション技術の一つがDACCS である。DACCS では、まずファンで取り込んだ大気を特殊な水溶液等に接触させることで、大気からCO2を分離する。その後、熱等を加えて水溶液からCO2を回収し、地下の帯水層や枯渇した油田・ガス田などで貯留する。 ネガティブエミッション技術には、藻類を用いて海洋のCO2吸収を促進するブルーカーボンや、CO2を吸収する鉱物を土壌や海洋に散布する風化促進、海洋アルカリ化などの技術もある。しかし、これらの技術は、実際にどの程度CO2を吸収したか定量化することが難しい、環境への悪影響も懸念される、といったデメリットがある。一方、DACCS は、CO2吸収の定量化が容易で、環境への悪影響も限定的である。 そのため、米国はDACCS の実用化に向けて本格的に動き出している。22年8月に成立したインフレ抑制法では、DACCSで回収・貯留したCO2に180米ドル/トンの免税措置を設けている。23年8月には、米国エネルギー省が、テキサス州とルイジアナ州の2カ所のDACCS 商用化プロジェクトを中心に、計12億米ドル(約1,800億円) を拠出すると発表した。両州のDACCS は、いずれも年間100万トンのCO2を回収する計画である。 欧米では、既に05年頃からDACCSに特化したスタートアップが登場している。このような中、米国の大手企業によるDACCS 関連スタートアップの積極的なM&A が増加し始めている。22年4月にはBaker HughesがMosaic Materialsの、翌年8月にはOccidental Petroleum がCarbon Engineering の買収を発表した。 日本でも経済産業省を中心にDACCS導入についての議論が始まっており、今後の動向が注目される。 (野村證券フロンティア・リサーチ部 横山 恭一郎) ※野村週報 2023年10月30日号「新産業の潮流」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/30 09:30
【銘柄紹介】三菱UFJ/山九/コナミ
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 銀行 顧客部門収益は堅調に推移 野村では、10月2日付で2024.3期親会社株主利益について、従来の会社計画(1.3兆円)並の予想から、600億円強増額し、1兆円3,684億円に見直した。主に、相場変動を捉えた市場部門収益を4~6月期決算に実現したことで、その他業務収益等を増額修正したことによるもの。マクロ環境を受けた国内顧客部門の好転や足元の円安傾向等も増益に寄与するものと想定される。中長期の業績の方向性については、24.3期に計上する持分法関連の一過性の増益要因(600億円規模)剥落影響は想定されるものの、収益性重視の経営姿勢を背景とする収益改善傾向などが、顧客部門の利益増加を牽引するものと想定される。 次期中期経営計画に注目 他社比でも進んでいる当社の株主還元方針は、一定程度当社株価評価に織り込まれているものと想定されよう。24年度から開始想定の次期中期経営計画で、自律的な企業価値成長を提示できるかに野村では注目している。邦銀の利益成長ドライバーは金利上昇のみとの見方が株式市場では根強いが、国内マクロ環境が構造的に好転しつつある中、①会社固有の戦略施策でトップライン成長を伴う利益成長を実現し、②その果実(ROE(自己資本利益率)向上、株主還元強化等)を投資家と共有する経営姿勢を示せるか、金利相場を超えた今後の株価の中長期的な動向を占う点からも注目している。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 高宮 健) 山九(9065) 陸運 鉄鋼、化学の補修に強い 当社は物流事業と鉄鋼、化学業界の補修を主力とする機工事業を手掛ける。利益の大半を創出する機工事業は、鉄鋼業界との取引が約40%、化学業界が30~40%、残りが電力会社などである。 コロナ禍では顧客が生産を抑制したことで機工事業の受注が低調だったが、生産の正常化に伴い、受注は回復傾向にある。なお、受注の特徴として、化学業界からの案件は2年に1回のシャットダウンメンテナンス(以下、SDM)により振幅がある。 2023年1月に発表された中期経営計画では健全な財務体質を生かし、総還元性向を70%と株主還元を強化、自己資本利益率も中期的に向上させていく方針が示された。 24.3期は6 %営業増益を予想 23年4~6月期の営業利益は前年同期比1%減益、機工事業の6月末受注残は922億円と過去最高を更新した。SDM の案件は少なかったものの、鉄鋼の修繕需要が回復してきたことが業績に寄与した。 野村では豊富な受注残の消化で、24.3期の営業利益は前期比6%増益の405億円と、会社計画の370億円を上回ると見ている。25.3期はSDM の案件が多く、営業利益は同8%増益の437億円を予想する。中長期的な成長ドライバーとして、中東や東南アジアで建設されたプラントの補修の獲得、顧客の生産設備の脱炭素化に対応した新たな案件の獲得に注目していきたい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 広兼 賢治) コナミグループ(9766) 情報・通信 休眠IP活用で利益拡大が進もう 当社は家庭用ゲームやモバイルゲーム、カードゲームを主力とする国内大手ゲームメーカーであり、スポーツクラブ運営やアミューズメント機器の製造販売等も手掛ける。「遊戯王」や「プロ野球スピリッツ」、「eFootball」といったIP(知的財産)を数多く保有しており、近年はこれらIP をモバイルゲームへ展開することで利益を拡大させてきた。また休眠IP の活用も積極化しており、2022年10月には「サイレントヒル」シリーズを3タイトル開発中であることが発表された。23年11月1日には同IP の配信イベントを展開予定であり、ソフト販売本数押上げといったシナジー効果発揮に繋がるか注目する。 主力3事業は好調なフェーズ 24.3期は家庭用ゲーム、モバイルゲーム、カードゲームの主力3事業の拡大により、事業利益は前期比32.9%増の752億円と予想する。家庭用ゲームでは「桃太郎電鉄」、「メタルギアソリッド」等の人気IP 作品が発売となり、中期的には「サイレントヒル」等の作品パイプラインも豊富である。モバイルゲームでは「eFootball」の売上回復に加え、WBC 効果でユーザーが増加したと見られる「プロ野球スピリッツA」の拡大にも期待できる。カードゲームでは24年2月に遊戯王カードが25周年を迎えることから、商品展開拡大が想定され、利益拡大への期待は高いと考える。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 三木 成人) ※野村週報 2023年10月30日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点