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2023/10/16 20:00
【今週の米国株】ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか?ネットフリックスやテスラが決算発表 (10/16)
先週:米長期金利の上昇一服が支えに 米長期金利(10年国債利回り)に、株価が左右される展開が続いています。10月6日(金)に4.8%台まで上昇していた米長期金利は、13日(金)には4.6%前後まで低下し、米国株主要3指数の下支えとなりました。FRB(米連邦準備理事会)高官が、相次ぎ「長期金利が上昇していることが金融引き締めの役割を果たし、追加利上げの必要性が低下している」とのコミュニケーションを取ったことが、長期金利の上昇が一服した背景にあります。 一方、イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で中東での地政学リスクが高まったことは株価の重石となり、株価は週を通して一進一退の展開でした。 今週のPoint1. ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか? 中東戦争と何が違うか 一般論として、大規模な戦争・紛争に発展すれば世界的な政治・経済の停滞リスクの高まりから株価は大きく下落すると考えられます。ただし、足元の株式市場は崩れることなく、比較的落ち着いた推移です。 この理由として、今回の衝突が第1次石油ショックを引き起こした1973年の第4次中東戦争と本質的に異なっていることが挙げられます。野村の吉本シニア・エコノミストは「軍事衝突の規模には差があるとはいえ、2006年、2008年、2014年、2021年に見られたイスラエル軍とハマスのガザ地区における戦闘に連なるものと見るのが妥当」と分析しています。 第4次中東戦争は、エジプト、シリアの両軍(アラブ側)がイスラエル軍を攻撃したことが契機であり、サウジアラビアなど多くのイスラム教国、アラブ民族国家が、アラブ側を支援・支持しましたが、今回はそうした宗教・民族の全面対立という構図を作り出すには至っていません。 それでも原油価格が重要な理由 こうした環境下で米国株に最も影響を与えるとすれば、原油価格の上昇→米長期金利の上昇→米国株の下落といった経路でしょう。リスクシナリオの位置づけでありますが、仮に紛争が激化し、湾岸諸国全体の原油生産・輸送体制にまで悪影響が及べば、原油価格の高騰によって米国のインフレ再燃リスクが高まりかねません。また、米国において国防支出増加への賛同を示す議員が増える可能性もあります。財政赤字拡大は米金利上昇材料となるため、紛争がエスカレートするか当面は注目する必要があります。 下記は、S&P500の株式益回り(A)と米長期金利(B)、両社の差である「イールドスプレッド」(B-A)を表示した図となります。 ※株式益回り…一株当たり純利益/株価(PERの逆数) イールドスプレッドが大きいほど(プラス幅が大きくなるほど)、債券に比べて株式が割高であること示し、逆に小さければ (マイナス幅が大きくほど) 債券に比べて株式が割安であることを示します。この図では、足元の株価には2000年のITバブル期ほどの割高感はないものの、ITバブル崩壊後~2008年のリーマンショック直前までの水準に上昇しています。 さらなる金利上昇を引き起こしかねないハマス・イスラエル問題には引き続き注視が必要です。 Point2. FRB高官発言に警戒 ネガティブ・サプライズとなった2指標 先週発表された2つのインフレ指標はいずれも、インフレ再加速を懸念させる内容でした。9月コアCPI(消費者物価指数)は、FRBが注視するサービス価格のインフレが継続し、市場予想を上回りました。また、10月ミシガン大学調査による消費者期待インフレ率(1年先)は9月確報値の前年比+3.2%から同+3.8%に再加速しました。 高官発言の重要性が高まる週 先週FRB高官からなされた「利上げの必要性が低下した」という発信とインフレ指標との関係は、ややちぐはぐな状態です。今週はFRB高官による講演が相次ぐため、発言内容に注目が集まります。 加えて、21日(土)からは10月31日(火)・11月1日(水)に行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)前の沈黙期間(FOMC参加者が金融政策に関する発言を控える期間)となるため、FOMC前の発言という観点でも注目が集まりそうです。パウエルFRB議長は、19日(木)に講演を予定しています。 景気指標としては、17日(火)の9月小売売上高に注目が集まります。市場では、コア指数ベースで前月比-0.1%と8月の+0.1%から低下すると予想されています。 Point3.7-9月期決算発表が本格化 以下の通り、主要企業の決算発表が相次ぎます。 金融:カテゴリごとの明暗を確認したい 今週、バンク・オブ・アメリカ(BAC)やゴールドマンサックス(GS)など大半の金融機関が決算発表を迎え、現在の金融環境を踏まえた各ビジネス部門の業績動向が判別されるようになると見込まれます。先週一足先に決算発表を終えた業界最大手のJPモルガン・チェース(JPM)は2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げました。その理由として、貸倒額が想定を下回ったこと、分母にあたるカードローン残高の増加を挙げました。一方、4-6月期決算では堅調であった株式市場部門の純収益は、前期比・前年同期比で減少しました。 決算詳細はこちら 半導体:反転見えるか? 半導体セクターにも注目です。銘柄としては、18日(水)寄り前にASMLホールディング(ADRのティッカーは「ASML」)、同日引け後にあるラムリサーチ(LRC)など半導体製造装置に始まり、19日(木)の世界最大のファウンドリー(製造受託企業)TSMC(台湾セミコンダクター,ADRのティッカーは「TSM」)が決算発表を予定しており、今後の半導体セクターの先行きを見通すうえで重要な示唆を得る機会となりそうです。先週いち早く決算速報を発表したサムスン電子(米国上場なし)は、売上高・営業利益ともに市場予想を上回りました。なお、野村では、半導体市況を左右するメモリー半導体の平均単価について、DRAMは7-9月期に、NANDは10-12月期から回復すると予想しています。半導体業界の業績反転の兆しが足元の決算発表で見えるか、確認したいと考えます。 他にも、各セクターを代表する企業が目白押し 上記の他、メディア・娯楽セクターではネットフリックス(NFLX)、自動車セクターのテスラ(TSLA)、生活必需品セクターのプロクター&ギャンブル(P&G、ティッカーは「PG」)など、各セクターを代表する銘柄が決算発表を迎えます。 企業業績がけん引し、株価が上昇する展開になるか、注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 15:58
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、大幅続落 中東情勢の緊迫化が重石(10/16)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前週末比332円安の31,983円で取引を開始しました。足元で中東情勢が緊迫化していることが株式市場の重石となりました。また、前週末の米国株式市場でフィラデルフィア半導体株指数が前日比-2.69%となり、国内の半導体関連株の上値を抑えました。寄付き後は、やや不安定な動きとなったものの、売り一巡後は31,700円前後でもみ合いとなりました。後場に入るとアジア株式市場が軟調に推移したことも嫌気され、日経平均株価は徐々に下げ幅を拡大する展開となりました。結局、前週末比656円安の31,659円と大幅に続落し、この日の安値圏で取引を終えました。 業種別では、中東情勢の緊迫化により、原油価格が上昇したことで、鉱業や石油石炭製品が上昇した一方で、空運業、陸運業の下落が目立ちました。 個別では、東京エレクトロンやファーストリテイリング、アドバンテストといった値がさ株や半導体関連株の一角が下落し、この3銘柄で日経平均株価を約207円押し下げました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・NY連銀製造業景気指数 前月:1.9 予想:-5.0 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 15:30
【市場展望】23年中のドル円は高止まりか
ドル円は一時150円台回復 ドル円相場は10月3日に一時150円の大台を回復した。9月FOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)が高金利長期化の姿勢を強めたことで、米金利の上昇圧力が再燃、米10年債利回りは一時4.8%台まで上昇した。米金利上昇を受け、為替市場ではドル全面高圧力が強まっている。本邦当局による円買い介入への警戒感もあり、円安ドル高のスピードは緩やかだが、徐々に上値を試す動きが続いている。 8月半ば時点で、野村では年末にかけて円高圧力が強まると見ていたが、足元の円安ドル高圧力は想定以上の強さを見せている。リスクシナリオとして「米ソフトランディング(軟着陸)が確定的となれば、年内のドル円は145~150円の高水準でのレンジ相場が定着の可能性」「昨年高値である151円95銭を試す展開も否定できない」と見ていたが、市場は米経済がマイナス成長を経ずに来年春から回復軌道に向かうソフトないしはノー・ランディング(無着陸)シナリオへの織り込みを強めている。 10~12月期はドル円高止まりの可能性が高いと判断、ドル円見通しを10月3日付で上方修正した。2023年末予想を148円(旧: 140円)とし、24年3月末予想についても140円(旧: 135円)へと修正した。23年中は145~150円を中心レンジとした高止まりが続き、24年入り後の円高ペースもより緩やかとなる見通しだ。 ドル円と米日金利差の連動性が高い中、10~12月期は高水準の米日金利差維持が予想され、145円を割り込む円高ドル安の可能性は後退した。24年3月にはFRB が利下げを開始するとの見通しは維持しているが、円高ドル安への明確な転換は年明け以降に後ずれする公算が大きい。 年明け後は円高圧力が高まる ドル円相場は23年に入り、アジア時間には安定的に推移する一方、欧米時間に円安ドル高となる傾向が定着している。米景気サプライズ指数との関係を見ても、4月以降は米指標の上振れ時に円安ドル高が加速したことが確認できる。円安ドル高の原動力は米国指標の強さにあり、米経済に弱さが見え始めれば、ドル円にはピークアウト感が強まりそうだ。 野村では依然として、米経済の10~12月期からのマイナス成長入りを予想している。足下では住宅市場に再調整の兆しが見えており、既往の利上げ効果の顕在化で景気減速感が強まることがメインシナリオだ。楽観的過ぎる市場の米景気見通しが修正される過程で米金利は低下に転じ、24年1~3月期にはドル円も上値を切り下げ始める公算が大きい。 一方、米経済の想定以上の強さが続いた場合、日銀の政策正常化のタイミングが前倒しとなることで、24年前半に円安圧力が弱まる可能性もあろう。日本のインフレ指標は底堅さを見せ、9月の日銀会合の主な意見でもインフレや賃金上昇の持続性への前向きな意見が目立った。日銀の政策運営はデータ次第とはいえ、イールドカーブコントロール(長短金利操作)撤廃やマイナス金利解除といった一段の正常化に向けて徐々に近づいている可能性が高い。 米経済の失速感が強まった際には、不透明感の高まりから24年上期の日銀の政策正常化は難しくなりそうだが、米景気に弱さが見えなければ、市場は日銀への政策正常化期待を一段と強める可能性が高い。日本の10年債利回りは0.8%台まで上昇しているが、一段の上昇リスクも否定できない。日銀政策による円高転換への市場の期待値は低下している印象だが、マイナス金利解除後の利上げ期待が高まれば、ポジション調整を誘発した円高圧力が高まろう。 為替市場では本邦当局による介入への警戒も燻る。ドル円は歴史的な水準まで再上昇してきたが、上値余地は徐々に限定されていると判断される。 (野村證券市場戦略リサーチ部 後藤 祐二朗) ※野村週報 2023年10月16日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 10:00
【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者信用の悪化懸念が和らぐ、株価は+1.50%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月13日寄り前に、金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。純収益は市場予想を2.7%上回り、EPSは市場予想を13.7%上回りました。 金利上昇が追い風、消費者信用の悪化懸念が和らぐ 会社は、2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げ、貸倒額が想定を下回ったことや分母にあたるカードローン残高の増加を理由として挙げました。 一方で、株式市場部門の純収益は、前期比、前年同期比で減少しました。 純利益とEPSの推移 株価は上昇 JPモルガン・チェースの株価は、前日比1.50%高で引けました。 会社は純金利収入の増加や低い純貸倒率は一時的で今後正常化するとコメントしたものの通期の業績見通しが上方修正されたことが株価の上昇につながったと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。EPSは、市場予想との比較のため本社部門の投資損失を除いた値で、報告書の実績値は4.33ドル。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月13日時点。(注3)純収益とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月12日時点。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者の財務状況は健全であることを確認、株価は+0.60% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 09:30
【銘柄紹介】三越伊勢丹/プラスアルファ/サンケン電気
三越伊勢丹ホールディングス(3099) 小売業 高感度上質戦略を進める百貨店 百貨店業をコア事業として、クレジット・金融・友の会業、不動産業などを展開している。百貨店業では、三越・伊勢丹・岩田屋・丸井今井の4つの暖簾を持っており、国内外で事業を展開している。伊勢丹新宿本店などで独自の強みを持っており、高感度上質消費の拡大・席巻、最高の顧客体験の提供を基本戦略としている。 好調な高額品消費、経済活動活発化の恩恵を背景に、国内販売は堅調に推移している。また、免税売上高についても、訪日客数の回復等に支えられ高水準が続いている。経費抑制の取り組みも進む中、販売面は順調に推移しており、短期業績は良好に推移すると野村では予想している。 今後も利益成長が続く確度は高い 外部環境の追い風が売上を押上げている面はあるものの、CRM(顧客関係管理)戦略の強化など、当社の施策も売上の拡大に貢献していると野村では評価している。なお、百貨店各社では、若年層顧客の取り込みも進んでおり、中心顧客の高齢化という積年の課題から脱しつつあると野村では考えている。 三越伊勢丹単体にて進められてきた「百貨店の科学」の視点による経費コントロールの取り組みが地域事業会社でも進められることで、地域事業会社の損益も今後さらに改善していこう。販売増と経費コントロールにより、来年度も継続的な利益拡大が予想される。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山岡 久紘) プラスアルファ・コンサルティング(4071) 情報・通信 販売活動/人材管理の補助サービスを提供 当社は次の3サービスを提供する。第一にアンケートなど文字情報を分析する「見える化エンジン」である。第二にEC(電子商取引)サイト上の顧客情報の分析やメール配信などで販売を支援する「カスタマーリングス」である。第三に人材管理の効率化や人事の意思決定のために従業員の情報を管理・分析する「タレントパレット」である。3サービスは、①データを可視化する点、②多機能な点、で共通する。営業、開発、コンサルティングの3者が連携し、着実に顧客が望む機能を実装してきた。特にタレントパレットは機能の多さが好感され、中堅・大企業を中心に導入顧客数が増え、高増収となっている。 タレントパレットが増収増益を牽引 野村では2023.9期以降の当社業績を増収増益と予想する。引き続きタレントパレットが増収を牽引しよう。人事業務の効率化への需要や人的資本の重要性の高まりから、今後も堅調に新規顧客の獲得が続くだろう。また、既存顧客には中堅・大企業が多く、顧客の人事の課題は多岐に渡る。採用管理や労務管理など追加機能の付与の進展が見込まれ、増収に寄与しよう。 また、高機能で料金の高いタレントパレットの販売では丁寧な導入支援で着実な顧客の獲得が求められる。顧客数増加ペースの加速のため従業員数や広告宣伝費を急増する戦略を採ることはなく、増収に応じ増益すると野村では予想する。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 平岡 直樹) サンケン電気(6707) 電気機器 EV軸に復活するパワー半導体メーカー xEV(電動車)化に伴い数量増が期待されるインバータの重要部品「パワーモジュール」を手掛ける。モジュールに必要なすり合わせ技術に強みを持ち、主力の白物家電向け中心にIPM(高機能パワーモジュール)では世界シェア15%(2021年)。 従来低収益体質に苦しんでいたが、17年以降事業・生産拠点整理や開発体制刷新といった構造改革を推進してきた。現在は好採算な新製品の拡販を進め、なかでも市場拡大の見込まれるxEV向け製品を成長ドライバーに据える。25年3月期にはEV トラクションモータ用モジュール大型案件向けに新工場の稼働開始を控えており、車載モジュールを軸に成長軌道へ復しよう。 磁気センサでも高い成長期待 当社は連結子会社として米国に磁気センサで世界トップのファブレス半導体メーカー アレグロを抱える。磁気センサは、xEV やクリーンエネルギー向け電流センサ、自働化機器向け位置センサ等で需要拡大が著しい。アレグロはこうした成長分野に注力しており、市場拡大の恩恵をより享受し易い。今後も市場拡大を着実に捉えて成長し、連結業績を牽引しよう。 アレグロを収益基盤に24年3月期連結親会社株主利益は前期比34%増の128億円を見込む。中国市場の調整は短期的に重石だが、足元の円安は追い風である。サンケン本体含む成長ストーリーも健在で、成長性の高さを評価したい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 田村 鈴音) ※野村週報 2023年10月16日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 09:09
【米国株決算速報】ユナイテッドヘルス・グループ(UNH):加入者の増加継続、株価は+2.64%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月13日寄り前に、医療保険給付や薬局サービス、コンサルティングなどヘルスケアサービスを行うユナイテッドヘルス・グループ(UNH US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.1%上回り、EPSは市場予想を3.8%上回りました。 2023年12月期通期EPSについて会社は、24.85~25.00ドルと、従来の24.70~25.00ドルから見通しレンジ下限を上方修正し、中間値は市場予想(24.84ドル)を0.4%上回りました。 加入者の増加継続、正常化が進む 会社は、売上高やEPSの前年比での成長の理由について、加入者の増加を決算書でコメントしました。 健康保険会社にとって重要な指標のひとつである医療費支払い比率は82.3%と、アフターコロナでの医療の正常化により外来患者数が増加したことなどにより前年同期の81.6%から上昇しましたが、2023年4-6月期の83.2%からは低下しました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 ユナイテッドヘルス・グループの株価は、前日比2.64%高で引けました。 市場予想を上回る実績やその要因である加入者の順調な増加、医療費支払い比率の増加が収まったことなどに反応したと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月13日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月12日時点。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ユナイテッドヘルス・グループ(UNH):医療費支払い増加の懸念は行き過ぎ、株価は+7.24% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 08:29
【モーニングFINTOS!】中東情勢の緊迫化が米国株の重石(10/16)
海外市場の振り返り 13日の米国株式市場は、寄り付き時点では主要3指数が上昇して始まりました。寄り前に発表された大手金融機関の決算発表が良好であったことが株価を支援しました。しかし、中東情勢が緊迫する中で原油価格が上昇すると、VIX指数の上昇にみられるように株式市場が不安定化して、S&P500指数とナスダック総合指数は下落に転じて引けました。主要半導体関連企業の株価指数であるSOX指数は、前日比-2.70%と主要3指数よりも大きく下げて引けており、テクノロジー株を中心に軟調でした。他方、原油価格上昇を受けてエネルギーセクターの株価は上昇しています。 相場の注目点 先週末の米国株式市場が下落していたことや、イスラエルによるガザ地区への大規模な地上侵攻への準備が着々と進んでいるとの報道などにより、国際情勢への不透明感が株式市場の重石になるとみられます。日経平均先物は32,000円台を割り込んでいます。米国の業種別騰落に示されるように、本日の日本株市場では石油元売りなどは原油価格上昇が下支えするとみられますが、半導体を中心とするテクノロジー株は上値が重くなる可能性があります。他方、13日(金)に発表された日本の小売業の決算は良好であったため、株式市場でその評価が反映されるとみられます。 本日のイベント 本日は米国で10月NY連銀製造業景気指数の発表があり、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の講演があります。 (投資情報部 小髙 貴久) (注)データは日本時間2023年10月16日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【特集】会社四季報編集長と「四季報の会」代表が語り尽くす日本企業の動向 【今週のチャート分析】米国長期債、ナスダック総合指数は自律反発の範囲内か(10/13) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/15 19:00
【特集】会社四季報編集長と「四季報の会」代表が語り尽くす日本企業の動向
「会社四季報」編集長・冨岡耕氏×野村證券「四季報の会」代表・大坂隼矢氏対談(後編) 「会社四季報」(東洋経済新報社刊)秋号の発売後、編集長の冨岡氏と、野村證券「四季報の会」代表の大坂氏が対談した。今回は前回に引き続き、秋号で見られた各業界の独特の傾向や、上場企業の資本政策など、注目点について意見を交わした内容をお届けする。(前編「【特集】会社四季報を読破してわかった「秋号」の注目点」はこちら) 「トレカ」「ガチャガチャ」「推し」… ――これまで秋号の注目点や、値上げや中国関連の記述などについて語っていただきました。ほかに秋号で興味深い傾向や記述は見られましたか。 冨岡 興味深いと思ったのは、(玩具の)「トレカ」、トレーディングカードというキーワードが急増していたことですね。 大坂 トレーディングカードは利用者のすそ野が広がっていると感じますね。さらに、インバウンド、外国人観光客が増えている影響もあるんじゃないかなと思います。カードショップなどや玩具店などで買う人の層が増えているとみています。 冨岡 さらに、トレカのように趣味性の高いいわゆる「ガチャガチャ」。カプセルトイの話も増えましたよね。あと「推し」も多かった(笑)旅行に持っていくぬいぐるみなども、いわゆる「推しグッズ」ですね。 大坂 すごいですよね。特に推しているものがない私には「推し」の文化はよくわからないのですが、とにかくすごいというのは同感です。 「100均」「激安チェーン」も好調 冨岡 名詞が具体的に出てくる銘柄って、やっぱり玩具関連に多いですよね。トレカという言葉はかなり出てきます。たとえばブックオフグループホールディングス(9278)など、中古品販売の企業などですね。 大坂 値上げが浸透している一方で、 中古品販売が好調というのは、日本人の節約志向のようなものも多少反映されている部分もあるのかなと思いました。例えば、キャンドゥ(2698)など、いわゆる「100円ショップ」の業績も前号と比較して良くなっている印象を受けました。 売価が高い商品の構成比を高める施策が奏功している面もありますが、「100円ショップ」である以上、原材料価格が上がっても商品の価格を上げにくいはずです。原価率が上がって利益出なくなるかと思いきや、新店舗や客数の増加がコストの増加分を上回っている印象です。 このほか、「激安チェーン」と呼ばれるような値段が安い外食店も伸びています。百貨店など高価格帯の小売店と、低価格を前面に出している100円ショップや外食チェーンなどの業績が同時に改善している点を見て、消費の「二極化」が進んでいる印象を受けました。 冨岡 一方で、まったく違う業種なのですが、遊技機関連、パチンコ、パチスロの機器を製造する企業の業績がいいんです。実際に玉やメダルを使わない「スマート遊戯機」が登場した影響が大きいようです。一般的なパチンコやパチスロの機器と違って、玉などがないので、動作音が静かなのが特徴ですね。 大坂 確かに勢いを感じました。リオープンでパチンコ店に人が戻り始めたという点や、パチンコ店に対する規制緩和などで、関連業界全体が盛り上がってきている印象です。スマート遊技機という新しいものを入れた影響も大きそうです。 パチンコ関連では、パチンコ店向けコンピューターシステム最大手のダイコク電機(6430)の株価が大きく上昇しています。 野村證券「四季報の会」代表・大坂隼矢氏 半導体関連銘柄の動向 冨岡 再び大きく話は変わるのですが、ほかに目立っていると感じたのは、半導体関連で、TSMC(台湾積体電路製造)の工場建設が進む熊本と、次世代半導体の新会社、「Rapidus(ラピダス)」の工場が北海道千歳市に進出します。両社の関連で熊本や北海道への投資が相当活発になっていますね。関連の製造業だけでなく、不動産会社やコールセンター関連、人材派遣会社にも動きがあります。 大坂 熊本への投資はどんどん増えています。マンションや戸建て住宅を建設・整備する企業などにも恩恵がありますし、本当にあらゆる業種の投資が集まってきている印象です。さらに、熊本にとどまらず、福岡など周辺の都道府県にも影響が波及している印象を秋号から読み取れました。 熊本については元々半導体産業が集積していた一方、ラピダスが進出を計画している北海道は、何もない段階からの投資になりますね。地域産業に与えるインパクトも大きなものになるかもしれませんね。 冨岡 半導体の関連で言うと、大きな電流を流すのに必要な「パワー半導体」の製造は日本が強い。パワー半導体というキーワードもたくさん見受けられます。シリコンカーバイド(炭化ケイ素)という新素材の開発で「省電力」と「パワー半導体」が結びついた形で言及されているケースが大変多いですね。半導体は年々すそ野が広がり、分野も細分化され、担当の記者もキャッチアップするために常に勉強しなければなりません。 大坂 パワー半導体の利用が広がっているのは、EV(電気自動車)の普及によるところが大きいですね。強い電圧にも耐えられるシリコンカーバイドを使ったパワー半導体がテスラのEVに採用されたことが話題になりました。世界でも有数の硬い化合物で、切断や研磨に手間がかかります。パワー半導体の製造を手掛ける企業と並び、シリコンカーバイドの切断装置を手掛ける企業としてディスコ(6146)が注目されています。 冨岡 秋号だけ読むと半導体業界は「減益」や「下方修正」などという言葉が目立っていて、市況が悪化しているようにも感じますが、一時的でしょうね。 「PBR1倍割れ」資本政策の行方は ――3月に東京証券取引所が企業に「PBR1倍割れ」の改善を企業に要請しました。改善に向けた資本政策は進んでいましたか。 大坂 前回の夏号が、3月期決算企業の通期決算発表が終わった後取材されたものであったため、資本政策への言及がものすごく多かった印象があります。今回は、3月期決算企業については第一四半期の決算発表後ですから、前回と比べて、資本政策を大きく変える企業は、やや少なかったかもしれません。ただし、急いで対策をとっている企業が依然として多い印象はあります。 冨岡 今までですとPBRという言葉自体が、企業の中期経営計画などに出てくることは珍しいことでした。これまで賛否もありましたが、東証はかなり思い切った印象です。見事に企業の背中を押すことに成功しましたね。 「PBR1倍割れの筆頭格」と言われていたある企業は、これまでIR(投資家との関係構築)にあまり力を入れていない印象だったのですが、トップが取材に応じ、PBR1倍割れをどう改善していくかについて説明することもありましたね。また、通常の取材で、記者も資本政策について積極的に聞くようになっています。 ややPBRの話とは異なりますが、株式分割も非常に増えました。1株の株価を下げ、個人投資家が株式を買いやすくする施策です。米国株は1株から買えますが、日本だとまだ1単元、100株からというのが基本です。しかし、株式分割によって、米国との差が縮まってきているのではないでしょうか。 大坂 また、これまで株主優待をやめる会社がかなりあったのですが、今回は、数は少ないのですが、優待を始める企業が、私が気づいただけで数社ありました。最近優待を始めたケースはあまりなかったので、やはり2024年の新NISAに向け、企業が個人投資家を意識し始めていることがよくわかります。いずれも中小型株でしたね。 「配当性向100%」が増える ――会社四季報の編集サイドから見た「新NISA」に絡んだ企業の動向はいかがでしょうか。 冨岡 新NISAそのものの言葉は四季報にはあまり出てこないんですけど、新NISAを見据えて個人株主を増やす施策を進めているケースがかなり出てきているのはわかりますね。PBR施策とも重なりますが、「配当性向100%」を何年か続けるといったような資本政策に関する言及が多いでね。 大坂 配当性向100%、めちゃくちゃ多かったですね。 冨岡 読む限りでは、この動きにさほど継続性はないんです。3年間に期限を区切って実施、と言ったような形ですね。 また、期限を区切って東証が促したプライムからスタンダードへ市場を変更する企業も多かった。「今のうちなら目をつむりますから、移りたいなら移ってください」と。さらに時間がたったらもう一回上場審査を受けなければならないですから、身の丈に合った形で市場移行することにしたのでしょう。 ――株式の流通総数が限られるため、新規上場の段階でスタンダード市場を選ぶ企業もあります。 冨岡 そうですね。さらに、株式の流動性の観点でいうと、プライムに残りたい企業が、大株主に株の市場での売却を依頼したり、創業家の背中を押したりするケースもみられるようになりました。 大坂 あと、政策保有株の売却という言葉も目立ちました。以前から保有していた政策保有株の売却による特別利益を計上している企業も多く見受けられました。PBR改革では、政策保有株の売却によって得た資金で、自社株買いをするといった施策はある意味王道の流れと言えそうです。 ――東証のPBR改革の本質は企業の経営改革を促すことにあると言われています。配当したり、自社株買いをしたりすると肝心の事業投資ができなくなるのではないでしょうか。 冨岡 これまでPBRを改善できていなかった企業がようやく「やる」と表明はしたものの、実効性があるかどうかは未知数です。「配当性向100%」も、他にたくさん選択肢がある中の一つです。それ自体はやろうと思えばできる話ですが、それ以外の施策、生産の効率化など本質的な経営の改革にまでちゃんと踏み込めるかどうかについては、今後も注視しなければなりません。 大坂 私は配当性向100%が必ずしも悪いわけではないと思っています。今、足元の事業に何か投資するよりも、資金を株主に還元するか、成長投資に使うかを考えた時、目先に投資先がないので100%株主還元に回し、その間に新事業を検討したり、次の投資先を決めたりすることが大事だと思います。自社株買い、つまり投資先が自社株であっても問題ないわけです。 仮に配当性向を100%に引き上げると表明している会社が、60%に下げて、残りの40%を事業の相乗効果の出にくい投資先に投資しても評価が上がるわけではないですし。「意味のある100%」であれば問題はないと思います。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/15 13:00
【オピニオン】年間670兆円への再エネ投資拡大と産業への影響
IEA(国際エネルギー機関)は、パリ協定で定められた2050年温室効果ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)に向けた「ネットゼロ・ロードマップ(Net Zero Roadmap A Global Pathway to Keep the 1.5°C Goal in Reach)」の2023年版を発表しました。2021年に発表したロードマップは各国の政策や産業の脱炭素投資に大きな影響を与えました。 2023年版は、2050年ネットゼロに向け世界のクリーンエネルギー投資を2030年までに年間4兆5,000億ドル(約670兆円)に増額する必要性を示しました。これは、2023年の世界のクリーンエネルギー投資額の約2.5倍で、日本の2023年度の国家予算の約5倍です。具体的な措置として、2030年までに2022年比で再生可能エネルギー(再エネ)発電を3倍に、また、エネルギー効率を2倍にすることを示しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ネットゼロ達成のために今後実用化が必要な新技術の割合は、約50%から約35%に引き下げられました。これは、ナトリウムイオン電池や固体酸化物水素電解装置の商業化などが始まったためです。 ここ2年で想定以上に普及が進んだ、①太陽光発電容量、②バッテリー容量、③自動車に占めるEVの割合、④電化率についての2030年と2050年の見通しが2023年版ではそれぞれ引き上げられました。 一方で、CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)や水素利用の見通しは引き下げられました。これらは、政府による補助金の導入で民間のコストが軽減された欧米ではプロジェクトが進捗した一方で、コストの高い中東やアジアでは遅れていることが指摘されました。 中国は、太陽光発電や風力発電の関連製品の製造拠点としての比率が今後も高いことが見込まれています。一方で、バッテリーや水素、ヒートポンプ(冷暖房)の生産設備については、産業の裾野が中国からほかの地域へ広がることが予想されています。 2023年9月29日、IEAとECB(欧州中央銀行)、EIB(欧州投資銀行)は、欧州のクリーンエネルギーへの移行のために、政策と金融商品を活用し、認可の手続きを簡略化することなどで、投資資金を拡大させる方針を発表しました。 また、2024年1月1日からはIFRS(国際会計基準)でのサステナビリティ関連開示義務が開始されます(注)。IFRSを採用する上場企業は、サプライチェーンの温室効果ガス排出を含めた開示が必要となります。サプライチェーンを形成する中小企業の脱炭素化を推進する評価機関や金融の取り組みも始動しています。 日本企業を含め、クリーンエネルギー関連産業の裾野が広がることが期待されます。 (注)日本で同様の基準での開示開始は2026年3月期決算以降の予定。東証上場企業でIFRS基準での開示を行っている企業は2023年8月末時点で262社。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点