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2023/10/18 08:36
【モーニングFINTOS!】不透明感漂う中、米国株、まちまちの展開(10/18)
海外市場の振り返り 17日に発表された米国経済指標は概ね良好でした。9月の小売売上高は前月比+0.7%と市場予想の同+0.3%を上回りました。自動車やレストラン・バーでの消費が増えたことが押し上げ要因となりました。オンライン売上高は同+1.1%と好調でしたが、因みに10月はアマゾンの有料会員向けセール「プライムデー」などを受けオンライン売上高が増加する傾向があります。加えて、9月の鉱工業生産指数は前月比+0.3%と市場予想の同+0.0%を上回りましたが、製造業が同+0.4%と上昇し、けん引しました。全米自動車労組(UAW) のストライキにより自動車生産が抑制されたものの、総じて堅調な結果となりました。こうした良好な経済指標を受け、米国長期金利(10年国債利回り)は一時、4.85%へ上昇し、株価の頭を押さえる展開となりました。NYダウが前日比+0.03%、S&P500指数が同0.0%、ナスダック総合指数が同-0.25%とまちまちな展開となりました。 相場の注目点 一方、この日は米国商務省が中国に対する人工知能(AI)用半導体輸出制限の強化を盛り込んだ新たな規制措置を公表する見通しであると報じられ、エヌビディア(NVDA)への影響が懸念される中で、半導体関連銘柄が大きく売られ、情報技術が下げを主導する局面もありました。また、18日からバイデン大統領がイスラエルを訪問する予定ですが、事態は混迷の様相を呈しています。更に、米下院が同日実施した次期下院議長の選出は、1回目の投票で共和党の議長候補ジョーダン下院司法委員長が過半数を獲得できず、2回目以降の投票に持ち越されることになりました。米主要企業の7-9月期決算発表が始まり、総じて堅調な結果となっていますが、相場自体は神経質な展開が続くものと思われます。 (投資情報部 佐々木 文之) (注)データは日本時間2023年10月18日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(10/17) 【野村の投資判断】中東情勢の金融市場へのリスクを考える ご投資にあたっての注意点
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2023/10/17 19:00
【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(10/17)
小売各社の決算発表が本格化し、関連銘柄が浮上 トヨタ自動車(7203、以下トヨタ)は前週の4位から3位に順位を上げました。トヨタは、10月12日に出光興産(5019)とBEV(バッテリー式電気自動車)用の全固体電池の量産実現に向けた協業の開始を発表しました。今回の発表について野村證券は、以前よりトヨタと出光興産とは全固体電池に関する複数の共同特許を保有する関係があったため、意外感はないとみています。 前週は小売各社の決算発表が本格化しており、関連する複数の銘柄がランクインしています。イオン(8267)は前週の24位から5位に大きく順位を上げました。イオンは10月11日に2023年3-8月期決算を発表しています。Q2(同年6-8月期)の営業利益は前年同期比27%増益の662億円となり、野村予想の588億円を上回りました。GMS(総合スーパー)事業やSM(食品スーパー)事業など小売関連事業の利益進捗が野村予想と比べて良好でした。 前週はランキング圏外だったファーストリテイリング(9983、以下ファストリ)が10位にランクインしています。ファストリは10月12日に2023年8月期決算を発表しています。同期の事業利益は前期比25%増益の 3,820億円となり、野村予想の3,709億円を上回りました。Q4(同年6-8月期)では野村予想と比べて国内ユニクロ事業の売上高総利益率(粗利益率)が良好であったほか、欧米を中心に海外ユニクロ事業の売上も良好でした。会社は2024年8月期の事業利益を前期比18%増益の4,500億円と計画しています。野村予想は4,275億円であり、会社計画はやや意欲的な印象も受けますが、海外ユニクロ事業を軸に利益拡大を目指す方向性に違和感はありません。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月16日時点。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/17 15:59
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、朝方600円超上昇も上値重く、381円高(10/17)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比404円高の32,063円と反発して取引を開始しました。各国首脳による外交を背景に中東情勢への過度な警戒は和らぎ、幅広い銘柄の上昇が相場を押し上げました。また、前日の米国株式市場はハイテク株中心に上昇しており、その流れを引き継ぎ東京エレクトロンなどの主力ハイテク株の上昇が目立ちました。寄付き後の日経平均株価は一時601円高の32,260円まで上げ幅を広げる場面もありました。しかし、32,000円台では上値は重く、日経平均株価は上げ幅を縮小し、32,000円を挟んで一進一退を続けました。長期金利の上昇やトヨタ自動車の6工場で一部稼働停止となっているとの報道も株価の重石となりました。日経平均株価は膠着したまま、前日比381円高の32,040円と心理的節目の32,000円を回復して取引を終えました。 東証プライム市場では、寄り付き直後の値上がり銘柄数は1,700を上回り全体の9割超でしたが、大引けの値上がり銘柄数は全体の7割超にあたる1,362銘柄となりました。 本日発表予定の海外経済指標等 【ドイツ】・10月ZEW景況感調査(期待) 前月:-11.4 予想:-9.0 【米国】 ・9月小売売上高(前月比) 前月:+0.6% 予想:+0.3%・9月鉱工業生産(前月比) 前月:+0.4% 予想:0.0% (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/17 08:26
【モーニングFINTOS!】政策金利据え置き期待で米国株上昇(10/17)
海外市場の振り返り 16日の米国株式市場は、主要3指数が揃って上昇となりました。シカゴ連銀グールズビー総裁が「インフレ低下は一時的現象でなく、トレンドであることは疑いようがない」と述べたと伝わるなど、足元でFRB高官が政策金利の据え置きを示唆する発言が増加しており、次回FOMCで政策金利を据え置くとの見方が相場の支えとなりました。また、前週に始まった決算発表において市場予想を上回る内容が多く、期待感から株式市場に買いが入りました。 相場の注目点 米国の金融政策や中東の地政学リスクが引き続き相場で材料視されると見ています。今週は、18日にフィラデルフィア連銀ハーカー総裁、19日にはパウエルFRB議長に加えて地区連銀総裁の講演が複数予定されており、注目を集めます。 中東情勢については、米国を中心に情勢悪化を食い止めるための外交が継続されており、過度な懸念は和らいでいますが、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻のリスクは依然として高く、注意が必要です。もっとも、過去におけるハマスによるイスラエルへの攻撃とイスラエルのガザ地区への報復攻撃は、イスラエルの優勢で短期に終了し、他国の介入も無く、産油地帯や石油の輸送路から離れていることにより、金融市場への影響は限定的でした(野村證券吉本シニアエコノミスト)。 本日のイベント 米国では、9月小売売上高、9月鉱工業生産が発表されます。また、バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスなどの金融セクター、医薬品・医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソンなどが決算発表を予定しています。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2023年10月17日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか?ネットフリックスやテスラが決算発表 (10/16) 【野村の投資判断】日本株は「グロース株×内需株」の好環境に ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 20:00
【今週の米国株】ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか?ネットフリックスやテスラが決算発表 (10/16)
先週:米長期金利の上昇一服が支えに 米長期金利(10年国債利回り)に、株価が左右される展開が続いています。10月6日(金)に4.8%台まで上昇していた米長期金利は、13日(金)には4.6%前後まで低下し、米国株主要3指数の下支えとなりました。FRB(米連邦準備理事会)高官が、相次ぎ「長期金利が上昇していることが金融引き締めの役割を果たし、追加利上げの必要性が低下している」とのコミュニケーションを取ったことが、長期金利の上昇が一服した背景にあります。 一方、イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で中東での地政学リスクが高まったことは株価の重石となり、株価は週を通して一進一退の展開でした。 今週のPoint1. ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか? 中東戦争と何が違うか 一般論として、大規模な戦争・紛争に発展すれば世界的な政治・経済の停滞リスクの高まりから株価は大きく下落すると考えられます。ただし、足元の株式市場は崩れることなく、比較的落ち着いた推移です。 この理由として、今回の衝突が第1次石油ショックを引き起こした1973年の第4次中東戦争と本質的に異なっていることが挙げられます。野村の吉本シニア・エコノミストは「軍事衝突の規模には差があるとはいえ、2006年、2008年、2014年、2021年に見られたイスラエル軍とハマスのガザ地区における戦闘に連なるものと見るのが妥当」と分析しています。 第4次中東戦争は、エジプト、シリアの両軍(アラブ側)がイスラエル軍を攻撃したことが契機であり、サウジアラビアなど多くのイスラム教国、アラブ民族国家が、アラブ側を支援・支持しましたが、今回はそうした宗教・民族の全面対立という構図を作り出すには至っていません。 それでも原油価格が重要な理由 こうした環境下で米国株に最も影響を与えるとすれば、原油価格の上昇→米長期金利の上昇→米国株の下落といった経路でしょう。リスクシナリオの位置づけでありますが、仮に紛争が激化し、湾岸諸国全体の原油生産・輸送体制にまで悪影響が及べば、原油価格の高騰によって米国のインフレ再燃リスクが高まりかねません。また、米国において国防支出増加への賛同を示す議員が増える可能性もあります。財政赤字拡大は米金利上昇材料となるため、紛争がエスカレートするか当面は注目する必要があります。 下記は、S&P500の株式益回り(A)と米長期金利(B)、両社の差である「イールドスプレッド」(B-A)を表示した図となります。 ※株式益回り…一株当たり純利益/株価(PERの逆数) イールドスプレッドが大きいほど(プラス幅が大きくなるほど)、債券に比べて株式が割高であること示し、逆に小さければ (マイナス幅が大きくほど) 債券に比べて株式が割安であることを示します。この図では、足元の株価には2000年のITバブル期ほどの割高感はないものの、ITバブル崩壊後~2008年のリーマンショック直前までの水準に上昇しています。 さらなる金利上昇を引き起こしかねないハマス・イスラエル問題には引き続き注視が必要です。 Point2. FRB高官発言に警戒 ネガティブ・サプライズとなった2指標 先週発表された2つのインフレ指標はいずれも、インフレ再加速を懸念させる内容でした。9月コアCPI(消費者物価指数)は、FRBが注視するサービス価格のインフレが継続し、市場予想を上回りました。また、10月ミシガン大学調査による消費者期待インフレ率(1年先)は9月確報値の前年比+3.2%から同+3.8%に再加速しました。 高官発言の重要性が高まる週 先週FRB高官からなされた「利上げの必要性が低下した」という発信とインフレ指標との関係は、ややちぐはぐな状態です。今週はFRB高官による講演が相次ぐため、発言内容に注目が集まります。 加えて、21日(土)からは10月31日(火)・11月1日(水)に行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)前の沈黙期間(FOMC参加者が金融政策に関する発言を控える期間)となるため、FOMC前の発言という観点でも注目が集まりそうです。パウエルFRB議長は、19日(木)に講演を予定しています。 景気指標としては、17日(火)の9月小売売上高に注目が集まります。市場では、コア指数ベースで前月比-0.1%と8月の+0.1%から低下すると予想されています。 Point3.7-9月期決算発表が本格化 以下の通り、主要企業の決算発表が相次ぎます。 金融:カテゴリごとの明暗を確認したい 今週、バンク・オブ・アメリカ(BAC)やゴールドマンサックス(GS)など大半の金融機関が決算発表を迎え、現在の金融環境を踏まえた各ビジネス部門の業績動向が判別されるようになると見込まれます。先週一足先に決算発表を終えた業界最大手のJPモルガン・チェース(JPM)は2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げました。その理由として、貸倒額が想定を下回ったこと、分母にあたるカードローン残高の増加を挙げました。一方、4-6月期決算では堅調であった株式市場部門の純収益は、前期比・前年同期比で減少しました。 決算詳細はこちら 半導体:反転見えるか? 半導体セクターにも注目です。銘柄としては、18日(水)寄り前にASMLホールディング(ADRのティッカーは「ASML」)、同日引け後にあるラムリサーチ(LRC)など半導体製造装置に始まり、19日(木)の世界最大のファウンドリー(製造受託企業)TSMC(台湾セミコンダクター,ADRのティッカーは「TSM」)が決算発表を予定しており、今後の半導体セクターの先行きを見通すうえで重要な示唆を得る機会となりそうです。先週いち早く決算速報を発表したサムスン電子(米国上場なし)は、売上高・営業利益ともに市場予想を上回りました。なお、野村では、半導体市況を左右するメモリー半導体の平均単価について、DRAMは7-9月期に、NANDは10-12月期から回復すると予想しています。半導体業界の業績反転の兆しが足元の決算発表で見えるか、確認したいと考えます。 他にも、各セクターを代表する企業が目白押し 上記の他、メディア・娯楽セクターではネットフリックス(NFLX)、自動車セクターのテスラ(TSLA)、生活必需品セクターのプロクター&ギャンブル(P&G、ティッカーは「PG」)など、各セクターを代表する銘柄が決算発表を迎えます。 企業業績がけん引し、株価が上昇する展開になるか、注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 15:58
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、大幅続落 中東情勢の緊迫化が重石(10/16)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前週末比332円安の31,983円で取引を開始しました。足元で中東情勢が緊迫化していることが株式市場の重石となりました。また、前週末の米国株式市場でフィラデルフィア半導体株指数が前日比-2.69%となり、国内の半導体関連株の上値を抑えました。寄付き後は、やや不安定な動きとなったものの、売り一巡後は31,700円前後でもみ合いとなりました。後場に入るとアジア株式市場が軟調に推移したことも嫌気され、日経平均株価は徐々に下げ幅を拡大する展開となりました。結局、前週末比656円安の31,659円と大幅に続落し、この日の安値圏で取引を終えました。 業種別では、中東情勢の緊迫化により、原油価格が上昇したことで、鉱業や石油石炭製品が上昇した一方で、空運業、陸運業の下落が目立ちました。 個別では、東京エレクトロンやファーストリテイリング、アドバンテストといった値がさ株や半導体関連株の一角が下落し、この3銘柄で日経平均株価を約207円押し下げました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・NY連銀製造業景気指数 前月:1.9 予想:-5.0 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 15:30
【市場展望】23年中のドル円は高止まりか
ドル円は一時150円台回復 ドル円相場は10月3日に一時150円の大台を回復した。9月FOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)が高金利長期化の姿勢を強めたことで、米金利の上昇圧力が再燃、米10年債利回りは一時4.8%台まで上昇した。米金利上昇を受け、為替市場ではドル全面高圧力が強まっている。本邦当局による円買い介入への警戒感もあり、円安ドル高のスピードは緩やかだが、徐々に上値を試す動きが続いている。 8月半ば時点で、野村では年末にかけて円高圧力が強まると見ていたが、足元の円安ドル高圧力は想定以上の強さを見せている。リスクシナリオとして「米ソフトランディング(軟着陸)が確定的となれば、年内のドル円は145~150円の高水準でのレンジ相場が定着の可能性」「昨年高値である151円95銭を試す展開も否定できない」と見ていたが、市場は米経済がマイナス成長を経ずに来年春から回復軌道に向かうソフトないしはノー・ランディング(無着陸)シナリオへの織り込みを強めている。 10~12月期はドル円高止まりの可能性が高いと判断、ドル円見通しを10月3日付で上方修正した。2023年末予想を148円(旧: 140円)とし、24年3月末予想についても140円(旧: 135円)へと修正した。23年中は145~150円を中心レンジとした高止まりが続き、24年入り後の円高ペースもより緩やかとなる見通しだ。 ドル円と米日金利差の連動性が高い中、10~12月期は高水準の米日金利差維持が予想され、145円を割り込む円高ドル安の可能性は後退した。24年3月にはFRB が利下げを開始するとの見通しは維持しているが、円高ドル安への明確な転換は年明け以降に後ずれする公算が大きい。 年明け後は円高圧力が高まる ドル円相場は23年に入り、アジア時間には安定的に推移する一方、欧米時間に円安ドル高となる傾向が定着している。米景気サプライズ指数との関係を見ても、4月以降は米指標の上振れ時に円安ドル高が加速したことが確認できる。円安ドル高の原動力は米国指標の強さにあり、米経済に弱さが見え始めれば、ドル円にはピークアウト感が強まりそうだ。 野村では依然として、米経済の10~12月期からのマイナス成長入りを予想している。足下では住宅市場に再調整の兆しが見えており、既往の利上げ効果の顕在化で景気減速感が強まることがメインシナリオだ。楽観的過ぎる市場の米景気見通しが修正される過程で米金利は低下に転じ、24年1~3月期にはドル円も上値を切り下げ始める公算が大きい。 一方、米経済の想定以上の強さが続いた場合、日銀の政策正常化のタイミングが前倒しとなることで、24年前半に円安圧力が弱まる可能性もあろう。日本のインフレ指標は底堅さを見せ、9月の日銀会合の主な意見でもインフレや賃金上昇の持続性への前向きな意見が目立った。日銀の政策運営はデータ次第とはいえ、イールドカーブコントロール(長短金利操作)撤廃やマイナス金利解除といった一段の正常化に向けて徐々に近づいている可能性が高い。 米経済の失速感が強まった際には、不透明感の高まりから24年上期の日銀の政策正常化は難しくなりそうだが、米景気に弱さが見えなければ、市場は日銀への政策正常化期待を一段と強める可能性が高い。日本の10年債利回りは0.8%台まで上昇しているが、一段の上昇リスクも否定できない。日銀政策による円高転換への市場の期待値は低下している印象だが、マイナス金利解除後の利上げ期待が高まれば、ポジション調整を誘発した円高圧力が高まろう。 為替市場では本邦当局による介入への警戒も燻る。ドル円は歴史的な水準まで再上昇してきたが、上値余地は徐々に限定されていると判断される。 (野村證券市場戦略リサーチ部 後藤 祐二朗) ※野村週報 2023年10月16日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 10:00
【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者信用の悪化懸念が和らぐ、株価は+1.50%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月13日寄り前に、金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。純収益は市場予想を2.7%上回り、EPSは市場予想を13.7%上回りました。 金利上昇が追い風、消費者信用の悪化懸念が和らぐ 会社は、2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げ、貸倒額が想定を下回ったことや分母にあたるカードローン残高の増加を理由として挙げました。 一方で、株式市場部門の純収益は、前期比、前年同期比で減少しました。 純利益とEPSの推移 株価は上昇 JPモルガン・チェースの株価は、前日比1.50%高で引けました。 会社は純金利収入の増加や低い純貸倒率は一時的で今後正常化するとコメントしたものの通期の業績見通しが上方修正されたことが株価の上昇につながったと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。EPSは、市場予想との比較のため本社部門の投資損失を除いた値で、報告書の実績値は4.33ドル。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月13日時点。(注3)純収益とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月12日時点。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者の財務状況は健全であることを確認、株価は+0.60% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/16 09:30
【銘柄紹介】三越伊勢丹/プラスアルファ/サンケン電気
三越伊勢丹ホールディングス(3099) 小売業 高感度上質戦略を進める百貨店 百貨店業をコア事業として、クレジット・金融・友の会業、不動産業などを展開している。百貨店業では、三越・伊勢丹・岩田屋・丸井今井の4つの暖簾を持っており、国内外で事業を展開している。伊勢丹新宿本店などで独自の強みを持っており、高感度上質消費の拡大・席巻、最高の顧客体験の提供を基本戦略としている。 好調な高額品消費、経済活動活発化の恩恵を背景に、国内販売は堅調に推移している。また、免税売上高についても、訪日客数の回復等に支えられ高水準が続いている。経費抑制の取り組みも進む中、販売面は順調に推移しており、短期業績は良好に推移すると野村では予想している。 今後も利益成長が続く確度は高い 外部環境の追い風が売上を押上げている面はあるものの、CRM(顧客関係管理)戦略の強化など、当社の施策も売上の拡大に貢献していると野村では評価している。なお、百貨店各社では、若年層顧客の取り込みも進んでおり、中心顧客の高齢化という積年の課題から脱しつつあると野村では考えている。 三越伊勢丹単体にて進められてきた「百貨店の科学」の視点による経費コントロールの取り組みが地域事業会社でも進められることで、地域事業会社の損益も今後さらに改善していこう。販売増と経費コントロールにより、来年度も継続的な利益拡大が予想される。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山岡 久紘) プラスアルファ・コンサルティング(4071) 情報・通信 販売活動/人材管理の補助サービスを提供 当社は次の3サービスを提供する。第一にアンケートなど文字情報を分析する「見える化エンジン」である。第二にEC(電子商取引)サイト上の顧客情報の分析やメール配信などで販売を支援する「カスタマーリングス」である。第三に人材管理の効率化や人事の意思決定のために従業員の情報を管理・分析する「タレントパレット」である。3サービスは、①データを可視化する点、②多機能な点、で共通する。営業、開発、コンサルティングの3者が連携し、着実に顧客が望む機能を実装してきた。特にタレントパレットは機能の多さが好感され、中堅・大企業を中心に導入顧客数が増え、高増収となっている。 タレントパレットが増収増益を牽引 野村では2023.9期以降の当社業績を増収増益と予想する。引き続きタレントパレットが増収を牽引しよう。人事業務の効率化への需要や人的資本の重要性の高まりから、今後も堅調に新規顧客の獲得が続くだろう。また、既存顧客には中堅・大企業が多く、顧客の人事の課題は多岐に渡る。採用管理や労務管理など追加機能の付与の進展が見込まれ、増収に寄与しよう。 また、高機能で料金の高いタレントパレットの販売では丁寧な導入支援で着実な顧客の獲得が求められる。顧客数増加ペースの加速のため従業員数や広告宣伝費を急増する戦略を採ることはなく、増収に応じ増益すると野村では予想する。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 平岡 直樹) サンケン電気(6707) 電気機器 EV軸に復活するパワー半導体メーカー xEV(電動車)化に伴い数量増が期待されるインバータの重要部品「パワーモジュール」を手掛ける。モジュールに必要なすり合わせ技術に強みを持ち、主力の白物家電向け中心にIPM(高機能パワーモジュール)では世界シェア15%(2021年)。 従来低収益体質に苦しんでいたが、17年以降事業・生産拠点整理や開発体制刷新といった構造改革を推進してきた。現在は好採算な新製品の拡販を進め、なかでも市場拡大の見込まれるxEV向け製品を成長ドライバーに据える。25年3月期にはEV トラクションモータ用モジュール大型案件向けに新工場の稼働開始を控えており、車載モジュールを軸に成長軌道へ復しよう。 磁気センサでも高い成長期待 当社は連結子会社として米国に磁気センサで世界トップのファブレス半導体メーカー アレグロを抱える。磁気センサは、xEV やクリーンエネルギー向け電流センサ、自働化機器向け位置センサ等で需要拡大が著しい。アレグロはこうした成長分野に注力しており、市場拡大の恩恵をより享受し易い。今後も市場拡大を着実に捉えて成長し、連結業績を牽引しよう。 アレグロを収益基盤に24年3月期連結親会社株主利益は前期比34%増の128億円を見込む。中国市場の調整は短期的に重石だが、足元の円安は追い風である。サンケン本体含む成長ストーリーも健在で、成長性の高さを評価したい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 田村 鈴音) ※野村週報 2023年10月16日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点