結論:米国は金利低下を追い風にテクノロジー企業が業績をけん引、日本は製造業の循環的な拡大に注目

目次
・日米ともに株式市場は好環境へ
・2024年は米国利下げ局面へ
・米国企業業績の拡大は続く
・2024年は半導体を中心に製造業の循環的な活動拡大
・日銀の金融政策変更には注意が必要
・2024年度も日本企業は過去最高益更新へ

日米ともに株式市場は好環境へ

2023年は米欧主要国・地域のインフレが減速し、利上げが終了に向かう局面でした。インフレが落ち着く2024年は、利下げ時期を探る展開になるでしょう。米国企業業績は2023年7-9月期に増益に転じ、2024年は増益率が拡大に向かうとみられます。これまでの利上げによる景気下押し圧力や、日本銀行の金融引き締めへの政策転換には注意が必要でしょう。しかし、我々は2024年の米国株市場が金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと続き、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場は好環境が続くとみます

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2024年は米国利下げ局面へ

米国経済は減速していますが、個人消費は過熱からコロナ禍前の平常時のペースとなり、雇用の減速もひっ迫状態からの緩和の範囲に留まり、景気後退は無いと市場で予想されています。エネルギー価格が落ち着く中で、インフレの減速が様々な品目に広がっています。様々な金利指標でみて、市場はFRBが2024年年央に利下げを開始することを織り込んでいるようです

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米国企業業績の拡大は続く

米国企業業績は、大手テクノロジー企業の増益拡大が顕著です。その他の多くの企業は、2024年に入って利益が拡大すると見込まれます。金利低下が追い風となり、米国産業のけん引役であるテクノロジー産業を中心に、幅広い企業の業績拡大が続くとみられます。2024年11月の米国大統領選挙が注目されます。現時点で、バイデン大統領の再選の可能性が高いとみられますが、景気や世論の風向きによっては予断を許さない状況が続くでしょう。

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2024年は半導体を中心に製造業の循環的な活動拡大

ユーロ圏ではECBがインフレ抑制を優先し、金融引き締めによる景気悪化が強まるリスクが高まっています。中国は景気減速や不動産開発企業の問題などが山積する中で、政府はその対応に苦慮しています。一方、中国の鉱工業セクターの在庫圧縮や世界的な半導体市場の再拡大は、2024年に製造業の循環的な活動が復調に向かうことを示唆しています

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日銀の金融政策変更には注意が必要

日本経済は、輸出の回復や在庫調整が進展するものの、名目賃金の上昇が物価上昇を下回っています。日本銀行の物価安定目標の達成には、国内の賃金と物価とが好循環に入る景気拡大が必要です。市場は日銀のマイナス金利解除への関心を強めており、2024年3月の春闘や、その前後の景気動向が注目されます。日銀の金融引き締めや米国の金利低下が起きると、米日金利差の縮小により、円安圧力の低下や、輸入物価の下落が想定されます。政府はデフレ完全脱却に向けて、減税や低所得者向けの給付を含む経済対策を策定しました。2024年は総選挙が行われる可能性もあり、政治動向には注意が必要です。

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2024年度も日本企業は過去最高益更新へ

2023年7-9月期決算を経て、日本企業は業績の上方修正が強まっています。中国向けの不振などは減益要因ですが、価格転嫁などの収益性の改善が好決算に表れています。2024年は為替などの不確実性もありますが、製造業の循環的な回復や賃上げによる内需拡大が続けば、2024年度も過去最高益更新となるでしょう。企業のガバナンス改革の進展も下支えとなり、野村證券は2024年末の日経平均株価の見通しを38,000円と予想します

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(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 12月号」(発行日:2023年11月20日)「投資戦略の概要」より

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