来週の注目点:米次期政権の人事、主要国・地域の11月PMI速報値
米国では前週後半に一部メディアが下院でも共和党が過半数を維持した見込みだと報じており、大統領から上下両院まで共和党が制する「トリプルレッド」の実現が確実な情勢です。このため、トランプ氏が掲げた個人所得税減税の延長や法人税減税などの拡張的財政政策の実現の可能性がより高まったと考えられます。
また、大統領選が早期に決着したことから、足元でトランプ陣営は主要ポストの人選を進めています。特に国務長官や国連大使、駐イスラエル大使など外交・安全保障面の人選を優先しています。ブッシュ親子に代表されるように、近年の米国では外交・安全保障の人事を優先した大統領は戦争を引き起こすとの経験則があります。第1次トランプ政権時とは異なりウクライナ紛争や中東情勢の悪化など地政学リスクが高まっていることから、政権発足後の外交政策には注意が必要です。
今週は注目度の高い経済指標や重要イベントは多くありません。22日(金)には主要国・地域の11月PMI速報値が発表されます。足元では製造業とサービス業の温度差が拡大していることから、製造業に持ち直しの動きが確認できるかが注目点です。
米国では18日(月)に11月NAHB住宅市場指数、19日(火)に10月住宅着工・建設許可件数、21日(木)に10月中古住宅販売件数と住宅関連指標の発表が予定されています。9月中旬以降、米国景気の堅調推移を受けて長期金利が再上昇し、住宅ローンへと波及していることからその影響が注目されます。
日本では22日(金)に10月の全国消費者物価指数が発表されます。市場では12月会合での利上げ観測が高まっていますが、同統計の結果が政策判断に影響する可能性は低いと考えられます。
今週はインドネシア、トルコ、南アフリカなど新興国の金融政策会合が予定されています。米大統領選挙の結果を受けたドル高が各中銀の政策判断に与える影響が注目されます。
(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)
(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年11月15日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
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