
銀行株の中長期シナリオは強気で不変
米国のトランプ大統領は米国時間4月2日(日本時間4月3日午前5時過ぎ)、相互関税政策の導入を発表しました。これを受け、野村は強硬な米関税政策を踏まえたうえで、銀行セクターへの強気の姿勢を引き続き維持しています。ただし、2025年初から3月末にかけて銀行株が高いパフォーマンスを示してきたことから、短期的な反落は避けられないと見ています。米関税政策と銀行株について、主なポイントは以下の通りです。
銀行株の中長期的な見通しは強気で変わりません。日本銀行の金融政策正常化の方向性に変更がないと予想されるためです。野村金融チームは次回の利上げ時期を2025年7月と考えており、2~3月に盛り上がった前倒し利上げ観測にはやや違和感を抱いていました。こうした期待が後退し、米国経済の不透明感が増すなかで株式市場全体が調整する中、銀行株が短期的に下落するのは自然な流れといえます。中長期の見通しは変わりませんが、米景気後退や市場混乱のリスクは以前より高まっています。
日本銀行はおそらく1%以上の中立金利を想定しており、野村金融チームは今回の件を受けても利上げの方向性は変わらないと見ています。ただし、2024年8月の市場混乱時の対応からも分かるように、日銀は利上げを実施するにあたり米関税政策が内外経済や金融市場に与える影響を慎重に見極めると考えられます。
米関税政策が銀行業績に与える影響は軽微であると野村は見ています。日本企業は健全な財務体質を維持しており、十分な耐性があると考えられるためです。ただし、米資本市場関連の収益には一定の影響が生じる可能性があります。なお、実施済みの日銀の利上げによる邦銀業績への影響が本格化するのは2025年度以降になると想定しています。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
Quick Note – 銀行セクター/マクロ・金融市場 – 米国関税政策と銀行株(2025年4月3日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。