6月は増加もインフレの影響には留意

6月の前月比は+1.0%

 米国時間7月15日に米商務省が、2022年6月の小売売上高を発表しました。小売売上(合計)は前月比+1.0%で、ブルームバーグ集計による市場予想中央値同+0.9%を上回りました。

 5月分の小売売上(合計)については、前月発表された速報値の同-0.3%から同-0.1%に上方修正されました。

 業種別にみると、ガソリンスタンドが同+3.6%と大きく伸びています。そのほかでは、オンライン小売を含む無店舗販売、家具、その他小売などの伸びが相対的に大きくなっています。また、5月には前月比減少していた自動車・同部品や電気製品が前月比で増加となっています。

 一方、百貨店や建設資材・ガーデニング用品などでは前月比減少となっています。

 GDP(国内総生産)の算出に用いられる、コントロールグループと呼ばれる自動車や建材、ガソリンスタンド、食品を除いたコア小売売上高は、6月は前月比+0.8%と、5月改定値の同-0.3%から増加に転じました。

6月の前年同月比は+8.4%

 次に前年同月比について見てみると、小売売上(合計)は、6月は+8.4%でした。5月分については、速報値の同+8.1%から同+8.2%に上方修正されました。

 業種別では、ガソリンスタンドの増加が目立ちます。また、コロナ禍の反動とみられますが、飲食店が同+13.4%と、3~5月に引き続き大きく伸びています。

 一方、電気製品は前年同月比-9.1%となっているほか、百貨店は同-2.9%と減少しています。

前年同月比は増加が続く

 前年同月比の推移をみると、小売売上高(合計)は、3月に+7.1%と、2月までの二桁増から鈍化していました。その後、4月には同+7.8%、今回発表された5月改定値は同+8.2%、6月は同+8.4%と、一桁後半の増加が続いています。

 無店舗販売は、2月の同+14.4%から3月には同+3.6%にまで大きく鈍化していました。4月は同+9.3%となり、今回発表された5月改訂値は同+7.0%、 6月は同+9.6%と、こちらも一桁後半の増加が続いています。

ミシガン大学の消費者マインド調査

 7月15日には、ミシガン大学消費者マインド指数が発表されました。7月速報値は51.1で、史上最低を記録した6月確報値の50.0から回復しました。調査元のミシガン大学は、46%の回答者が、インフレを悲観的な見方の理由に挙げているとしています。

 消費者の期待インフレ率調査については、7月速報値の1年先のインフレ見通しは前年比5.2%、5年先については同2.8%と、共に6月確報値からは低下しました。

今後の注目点

 6月小売売上高では、前月比、前年同月比共に引き続きガソリンスタンドでの支出が大きく伸びています。電気製品などでは前年同月比減少していることから、裁量的支出(生活必需品でない支出)について、ガソリン高やインフレによる影響を受けている可能性が考えられます。

 一方、飲食店は前月比、前年同月比共に伸びていることから、モノからサービスへ消費がシフトしている可能性が考えられます。

 6月は前月比、前年同月比ともに増加しており、消費は堅調を維持しているとみられます。

 ただし、小売売上高統計は名目値で、インフレは調整されていないことから、支出額の増加がインフレによって押し上げられている可能性もあり、注意が必要です。小売売上高は単月の動きが大きいこともあり、今後も継続して動向を確認していきたいと考えます。

(投資情報部 村山 誠)

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