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07/31 09:58
【米国株決算速報】マイクロソフト(MSFT):AIの収益化はやや遅れて加速へ、株価は-2.35%(時間外取引)
決算概要:2024年4-6月期(2024.6期第4四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間7月30日引け後に、「Office」や「ウインドウズ」、クラウドソフトの「Azure(アジュール)」などで知られるソフトウェア企業であるマイクロソフト(MSFT US)が2024年4-6月期(2024.6期第4四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.5%上回り、EPSは市場予想を0.5%上回りました。 AIの収益化はやや遅れるも、アジュールの成長は年度後半に加速へ AIサービスを含むクラウド部門の売上高が市場予想を下回り、その中核であるアジュール及びその他クラウドサービスの売上高成長率は前年同期比+29%と、2024年1-3月期の同+31%を下回りました。 2024年7-9月期の見通しは各部門とも市場予想を下回りました。一方で、会社はアジュールの成長は2025年6月期後半(2025年1-6月期)に加速するとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で下落も下げ幅を縮める マイクロソフトの株価は、前日比0.89%安で引けた後、クラウド部門の売上高が予想を下回ったことなどで時間外取引では一時終値比7%を超えて下落しましたが、決算説明会でのアジュールの成長加速のコメントなどを受け下げ幅を縮め、2.35%安の413.00ドルで推移しています(NY時間18:16)。 市場参加者が、一旦はAIの収益化への不確実性が高まったと受け止めた一方で、その後のアジュールの成長加速の見通しにより、AIサービスは進捗の速度にはばらつきがあるものの着実に拡大すると受け止めたためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2024年7月30日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2024年4-6月期(2024/6)。2024年7-9月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG集計による市場予想平均。2024年7-9月期以降の予想は2024年7月29日時点。2023年10-12月期以降の売上高、EPSは2023年10月に買収を完了したアクティビジョン・ブリザードの寄与分を含む(PC・ゲーム部門)。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) ご投資にあたっての注意点
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07/31 08:33
【野村の朝解説】金融政策や決算発表を控え、騰落まちまち(7/31)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 30日の米国株式市場で、NYダウは上昇した一方、S&P500指数とナスダック総合指数は下落し、主要3指数の騰落はまちまちとなりました。FOMC(米連邦公開市場委員会)による9月の利下げ期待がNYダウを押し上げる一方で、マイクロソフトなど大型ハイテク株の決算を前にナスダック総合は反落しました。 相場の注目点 週後半は、FOMCに加え、米国大手テクノロジー企業の決算発表が注目されます。決算発表では、31日にメタ・プラットフォームズ、8月1日にはアップル、アマゾン・ドットコムなどが決算発表を予定しています。金融政策関連では、30日、31日に7月FOMCが開催されます。結果は、31日14:00(日本時間1日3:00)に公表され、14:30からパウエルFRB議長の会見が予定されています。7月FOMCでは、政策金利は据え置かれるとみられ、今後の政策金利見通し、いわゆるドットチャートが発表される会合でもありません。市場関係者の関心は9月以降の金融政策にあるとみられ、FOMC声明文やパウエルFRB議長の会見から、9月以降の金融政策について示唆が得られるか、注目されます。 本日のイベント 本日正午前後に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。一部報道では、「日銀が追加利上げを検討する」と報じられるなど、追加利上げの有無について思惑が交錯しています。4月の金融政策決定会合後には、植田総裁の会見がハト派と受け止められ円安が進行しました。さらに、長期国債の買入れ減額を決定しなかった6月会合後も円安が進行しており、結果発表や植田総裁記者会見(15:30予定)を受けた為替市場の反応が注目されます。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2024年7月31日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/30 16:12
【野村の夕解説】日経平均株価続伸、57円高 (7/30)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比227円安の38,241円で始まりました。米国の金融株や半導体株安を受け、日本の銀行株や電機株が下落しました。また、前日の大幅高を受け利益確定の動きがみられたものの、その後は底堅く推移しました。日経平均株価は後場に入ると下げ幅を縮め、その後は31日の日銀金融政策決定会合と、日本時間8月1日早朝のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表を控え、様子見ムードが広がりました。市場では、日銀金融政策決定会合において追加利上げは見送られるとの思惑などが意識され、日本の長期金利は前日比0.03%低い(債券価格は高い)0.995%と1ヶ月ぶりの低水準となりました。これを受け外国為替市場は14時すぎに1米ドル=154円60銭台まで円安が進行し、日経平均株価は引けにかけて前日比プラスへと転じました。大引けは57円高の38,525円となり、2営業日続伸となりました。個別企業では、前日引け後に発表された決算で今期業績予想を上方修正したファナックの終値が前日比+2.93%となった一方、失望的な決算発表となったコマツは終値が前日比-4.84%となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日から明日にかけて、日米で金融政策会合が開催されます。米国の利下げ開始時期やその後の利下げペースに関して、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の会合後の記者会見に注目です。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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07/30 08:26
【野村の朝解説】米国株は決算・FOMCを控え様子見小動き(7/30)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り NYダウは小幅安、S&P500指数とナスダック総合指数は小幅高となり、米国株市場全体としては方向感の無い動きとなりました。大手テクノロジー企業の決算発表や、30-31日に開催されるFOMCを控えて様子見姿勢が強まったとみられます。一方、決算発表シーズンであることから、個別企業では決算発表によって株価の騰落が大きく現れているものもあり、車載半導体のオン・セミコンダクターは市場予想を上回る業績を受けて、前日比+11.54%と急騰しました。他方、マクドナルドの決算発表で業績は市場予想を下回ったものの、5米ドルセットの売れ行きが好調との内容が今後の売り上げ増を期待させる内容であったことから、株価は前日比+3.73%となりました。 相場の注目点 昨日の日本企業の決算発表では、2025.3期通期業績会社予想について、ファナックが上方修正する一方、小糸製作所が下方修正していました。この他にも決算を発表した企業は多く、本日の市場の反応が注目されます。本日取引時間中の主要企業の決算発表は、12:00に双日、13:00に清水建設、14:00にヤクルトなどの発表があります。 本日のイベント 日米企業決算の発表が相次ぎます。本日、日本での引け後の主要企業の決算発表は、オリエンタルランド、村田製作所などがあります。米国市場でマイクロソフトの決算発表があります。本日から明日にかけて、日本銀行とFRBがそれぞれ金融政策を決定する会合を行います。日本では今後1-2年の国債買い入れの減額計画が発表されるようですが、政策金利については現時点で日米ともに据え置きが市場で予想されています。 (投資情報部 小髙 貴久) (注)データは日本時間2024年7月30日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/29 19:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(7月第4週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年7月第4週(2024年7月19日~7月26日) 2024年7月月間(2024年6月28日~7月26日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年7月26日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年7月26日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年7月第4週(2024年7月19日~7月26日) 2024年7月第4週(2024年7月19日~7月26日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年7月26日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年7月26日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年7月26日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/29 16:04
【野村の夕解説】日経平均株価、米国株高を受け9営業日ぶりに大幅反発(7/29)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前週末の米国市場では、インフレ指標の鈍化が好感され主要3指数は揃って上昇しました。本日の日経平均株価は、米国株高の流れを引き継ぎ幅広い銘柄が上昇し、前週末比471円高の38,139円で取引を開始しました。前週末までの8営業日で約3,600円の下落となっていた反動もあり、10時過ぎには一時前週末比1,052円高の38,719円まで上げ幅を拡大しました。しかし、急速な上昇への警戒が高まり、その後は38,600円前後での推移を続けました。今週の水曜日には日米ともに金融政策の結果発表を控えており、引けにかけては上げ幅を縮め、前週末比801円高の38,468円で取引を終えました。日経平均株価は9営業日ぶりの反発となりました。東証プライム市場では値上がり銘柄数が1,571銘柄と全体の95%を上回る全面高となりました。 個別銘柄では前日引け後、好決算を発表した信越化学工業が前週末比+8.56%と上昇する一方で、失望的な内容の決算を発表した日立建機は同−9.54%と下落しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日米ともに決算発表が相次ぎます。日本では本日引け後に小松製作所やファナック、米国ではマクドナルドの決算が発表され、明日の市場での評価が注目されます。 (野村證券投資情報部 神谷和男) ご投資にあたっての注意点
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07/29 08:42
【野村の朝解説】米国株高を受け、反発力が試される日本株(7/29)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 前週末の米国市場では、インフレ指標の鈍化を受け主要3指数は揃って上昇しました。長期金利の指標となる10年物国債利回りは4.2%を下回り、金利低下も追い風となり、S&P500採用銘柄の9割近くが上昇するなど幅広い銘柄が上昇しました。朝方、好決算を発表したスリーエム(3M)が前日比+22.99%と大幅に上昇するなど、好業績が決算で確認された銘柄群の上昇が目立ちNYダウは同+1.63%の続伸となりました。ハイテク株も上昇し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は同+1.95%と4営業日ぶりの反発となりました。 相場の注目点 日経平均株価は前週末までの8営業日で約3,600円の下落となりました。25日移動平均線とのカイリ率は−5.95%(7/26時点)と一時37,000円を下回った4/19時点の−6.26%に次ぐカイリ率となりました。過去概ねこのカイリ率が−5%を超えて下落した後は下落の反動ともいえる動きとなる事例が目立ちます。前週末引け後に発表した2024年4-6月期決算で業績上振れとなった、信越化学工業やSCREENホールディングスの上昇も期待され、日経平均株価の反発力が試される1日と想定されます。 本日のイベント 本日引け後には小松製作所やファナック、塩野義製薬などの決算発表が予定されています。米国ではマクドナルド、オン・セミコンダクターが決算を発表します。 (投資情報部 神谷 和男) (注)データは日本時間2024年7月29日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/28 16:00
【特集】公的年金受給額が2年連続で増額 受給額決定のカギ「マクロ経済スライド調整率」とは
2024年度の公的年金受給額の改定は、前年度と比べて2.7%の増額になりました。増額は、昨年度に続いて2年連続となりました。毎年の公的年金受給額の改定の仕組みと、公的年金を補完するための資産形成の考え方について、野村證券投資情報部の山本昌幸が解説します。 賃金・物価の変動率からマクロ経済スライドを差し引く ――公的年金を受け取っている方から「少しずつ受給額が増えている」と聞きました。これは本当なのでしょうか。 山本昌幸(以下、同) 本当です。年金額改定は、毎年1月に厚生労働省が発表し、新年度(4月以降)の年金受給に反映されます。年金は年6回、偶数月に前月までの2カ月分が支払われるため、6月には4月と5月分が支給されています。つまり、この6月支給分から2024年度分の支給が始まり、前年度と比べてプラス2.7%と、支給額が増えています。 ただ前提として、公的年金の年金額は、それまでの国民年金保険料の納付月数や厚生年金の加入期間に応じて計算されます。個人によって受け取れる年金額が満額の方も、そうでない方もいます。このように個人の状況によってベースは異なりますが、世の中の物価や賃金の変動に応じて、毎年度ごとに年金額が改定されています。 ――毎年度の公的年金の改定は具体的にはどのような仕組みで決まるのでしょうか。 年金の受給開始は基本的には65歳ですが、年金額決定の仕組みに理由があり、年金受給権者の年齢(67歳以下と68歳以上)によって、改定の仕方が少し異なります。 67歳以下の受給権者には、改定に「名目手取り賃金変動率」を用います。2024年度に使われる名目手取り賃金変動率の数値は、以下の計算の通り、プラス 3.1%となります。 (出所)野村證券投資情報部作成 68歳以上の受給権者だと、改定に「名目手取り賃金変動率」か「前年の物価変動率」のどちらか低い数値を用います。名目手取り賃金変動率がプラス3.1%、2023年の物価変動率がプラス3.2%のため、2024年度の数値には低い方の名目手取り賃金変動率のプラス3.1%を用います。 ここから「マクロ経済スライド調整率」を差し引きます。マクロ経済スライドによる調整とは、公的年金の支え手である現役世代の過度な負担を回避するために、賃金や物価の変動がプラスとなる場合、そのプラスの範囲内で、労働者数の減少と平均余命の伸びを踏まえて給付額を抑える仕組みのことです。具体的には、「2年度前から4年度前までの3年度平均の公的年金被保険者総数の変動率」と「平均余命の伸び率」に基づいて設定されています。2024年度に使われるマクロ経済スライド調整率は、以下の計算の通り、マイナス0.4%となりました。 (出所)野村證券投資情報部作成 2024年度の公的年金は、67歳以下も68歳以上も、ともに前述の方法で算出した数値はプラス3.1%だったため、その指数からマクロ経済スライド調整率の0.4%を差し引き、プラス2.7%の改定率になりました。つまり、2024年度の公的年金受給額は、前年度から2.7%引き上げられたわけです。 増額の中、差し引く調整率は微増傾向 ――公的年金の改定率はどのように推移しているのでしょうか。 2020年度から2024年度の公的年金の改定率を見てみましょう。直近の2年度は、以前の年度と比べて賃金と物価の上昇が大きかったこともあり、それを反映して改定率もプラスとなり、公的年金は2年連続で増額したと理解できます。 公的年金額の改定率の推移(2020年度~2024年度) 公的年金額の改定率の推移(2020年度~2024年度)(注)2023年度は物価上昇などを受けて3年ぶりにマクロ経済スライドが発動されました。2021年度および2022年度は、公的年金の改定率がマイナスとなったので、マクロ経済スライドの適用を見送った結果、2023年度は、2022年度まで繰り越されたマクロ経済スライド-0.3%と合わせて、-0.6%の調整が行われました。(出所)野村證券投資情報部作成(出所)野村證券投資情報部作成 ――賃金と物価の変動率に合わせて公的年金も増額されるのであれば、安心感が増しますよね。 ただし、マクロ経済スライド調整率の推移も気になる点ではあります。前述の通り、マクロ経済スライド調整率は公的年金の「給付」と現役世代の「負担」のバランスのために設定されているため、現役世代の「負担」が大きくなればその分、差し引かれる割合が大きくなります。直近の2年度を見てみると、2023年度はマイナス0.3%、2024年度はマイナス0.4%と、マイナス幅がやや増えてきていることが分かります。 とは言え、マクロ経済スライド調整率は前述の通り、賃金や物価の変動がプラスとなった場合、そのプラスの範囲内で繰り越し分を含めて差し引かれるものです。公的年金は基本的に、賃金や物価が上昇すれば改定率はプラスになる仕組みになっているため、過度に悲観的になることはありません。 ――年金額の毎年度の改定の仕組みが分かって少し安心しました。これを踏まえて、マネープランのアドバイスはありますか。 「公的年金をマネープランにうまく活用する」というのは大事な考え方です。マネープランにおいては、公的年金額だけでは足りない場合が多いため、足りない分を補完する必要があります。 現在の預金金利だけでは、お金はなかなか増えません。特にインフレが進んだ場合、インフレ以上に金利がつかないと、現金の実質的価値は減少してしまいます。 そこで、長期的に「お金を育てる」、言い換えれば、「お金に働いてもらう」という考え方が必要になってきます。具体的には、中長期的な資産運用の効果が期待できる株式や債券、投資信託などにお金をバランスよく「就職」させて、「お金に働いてもらう」ことが重要です。 フランスの小説家・サン=テグジュペリは、「計画のない目標は、ただの願いごとにすぎない」といったと伝わっています。支給される年金額が改定されたこのタイミングに、公的年金も含めたマネープランを一度、見直してみてはいかがでしょうか。 ご投資にあたっての注意点
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07/28 09:00
【8月の投資戦略】短期的な調整局面があっても、業績拡大で乗り越えると予想
目次・史上最高値更新は業績拡大への期待が背景・FRBは9月に利下げへ・米国企業業績の拡大は様々な業種に広がる・中国を取り巻く通商問題に注意・賃金と物価の好循環への信頼が強まれば利上げへ・金利上昇局面ではPERの切上りも一般的 史上最高値更新は業績拡大への期待が背景 2024年2月の日経平均株価に続き、7月にTOPIXは約34年半ぶりに資産バブル期以来となる史上最高値を更新しました。米国では景気に配慮した利下げが近づきつつあります。我々は、米国株式市場は金融相場から業績相場に、日本株市場も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみてきました。米中通商問題や米国大統領選挙など、政治的に不透明な問題はありますが、株式市場を見る上での基本観は企業業績との見方は変わりません。 FRBは9月に利下げへ 主要先進国・地域の経済成長率は、巡航速度に落ち着くとみられます。米国では雇用情勢の緩和とインフレの減速が進んでおり、FRB高官の一部からは、雇用の悪化リスクに配慮すべきとの意見がみられます。FRBの利下げ開始は9月からとの見方が強まっており、金融市場は年内2回以上の政策金利引き下げを織り込んだ状態にあります。 米国企業業績の拡大は様々な業種に広がる 米国大統領選挙については、共和党のトランプ候補の支持率が上昇しています。米国第一主義を掲げ、エネルギー産業への支援を打ち出す一方、輸入関税の引き上げや、特に中国に対する強硬姿勢を示しています。他方、バイデン大統領はハリス副大統領候補を後任候補に推薦しました。企業業績は、2024年末に向けて二桁増益への加速が見込まれています。AI関連の製品・サービスを手掛ける大手テクノロジー企業の業績が伸長してきましたが、その他の企業群もいよいよ増益に転じることで、米国企業全体の利益成長は加速するとみられます。 中国を取り巻く通商問題に注意 ユーロ圏はフランスや英国で議会選挙が実施されました。フランスでは極右勢力の躍進に歯止めがかかり、その後、金融市場は概ね落ち着いています。ユーロ圏では緩やかなペースでの利下げが続くとみられます。中国は不動産市況の不振による内需の停滞が続く中で、輸出を推進する動きが強まっています。米国や欧州と、中国との通商問題の高まりには注意が必要でしょう。 賃金と物価の好循環への信頼が強まれば利上げへ 日本では品質不正問題などから自動車産業の不振が続いているものの、電子部品をはじめその他の製造業の業況は好転入りが示唆されます。設備投資にも持ち直しがみられます。賃金上昇が明確化し、賃金と物価の好循環への信頼が強まれば、日本銀行による追加利上げが視野に入ります。2024年7月の金融政策決定会合では、国債買い入れの具体的な減額計画が発表されます。その後、野村證券は10月に利上げが行われると予想します。 金利上昇局面ではPERの切上りも一般的 円安の加速に歯止めをかけるため、政府は為替介入を実施しました。ただし、米ドル円相場の反転には、米国政策金利の引き下げが大きな鍵を握ります。日本の2024年度の企業業績は、円安の追い風もあって、4-6月期決算発表時に、年度当初の保守的な会社予想を上回る業績が示される可能性があります。また、企業の自社株買いは今後増加してゆくとみられます。景気拡大を起点とした金利上昇の中で、PER(株価収益率)の切上りは一般的です。野村證券は、2024年末の日経平均株価は42,000円、年内のレンジ上限は46,000円と予想します。 投資戦略については、短期的な調整局面があったとしても、基本観として、日米株式市場は企業業績の拡大に沿って推移するとみます。米国では政策金利の引き下げが株価の支援材料となり、日本の利上げは予想される幅では景気や企業業績の失速要因にはならないとみます。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 8月号」(発行日:2024年7月22日)「投資戦略の概要」より※掲載している画像はイメージです。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点