主な個別銘柄の株価動向(7/26)

ハスブロ(HAS) 前日比+12.23%
米国のエンタメ企業で子供や家族向けに娯楽用品を提供しています。トランスフォーマーズやマイ・リトル・ポニー、モノポリーなどのブランドを保有しています。寄り前に2021年4-6月期決算を発表しました。一株当たり利益が市場予想を上回ったことなどが、市場で好感されました。

パーキンエルマー(PKI) 前日比+4.72%
米国の分析機器メーカーで診断・ライフサイエンス・環境などの各分野で科学者、研究者、臨床医向けに製品・サービスを提供しています。寄り前に2021年4-6月期決算を発表しました。一株当たり利益が市場予想を上回ったことなどが、市場で好感されました。

オーチス・ワールドワイド(OTIS) 前日比+0.61%
米国のエレベーターメーカーです。ユナイテッド・テクノロジーズから2020年に分社化しました。寄り前に2021年4-6月期決算を発表しました。一株当たり利益が市場予想を上回ったことなどが、市場で好感されました。

テスラ(TSLA) 前日比+2.21% / 時間外取引:26日終値比+0.97%(米国時間18:15時点)
米国のEV(電気自動車)メーカーです。この日の引け後に決算発表を控えており、期待から堅調な推移となりました。取引終了後に発表された4-6月期決算は、一株当たり利益が市場予想を上回りました。時間外取引では、26日終値比+0.97%(米国時間18:15時点)と上昇しています。

ロッキード・マーチン(LMT) 前日比-3.34%
米国の軍事用航空機・宇宙関連機器メーカーで、売上高の大半を米国政府向けが占めます。寄り前に2021年4-6月期決算を発表しました。一株当たり利益が市場予想を下回ったことなどが、市場で嫌気されました。

本日のトピック:業績予想の上方修正が株価上昇のドライバーに

26日は主要3指数とも続伸

 26日に米国株式市場は続伸となり、米株価主要3指数とも終値ベースで史上最高値を更新しました。寄り付き直後は、中国当局によるインターネット関連企業などへの規制強化に関する報道を受けて弱含む場面もありましたが、発表が本格化する米企業の2021年4-6月期決算における好業績への期待が押し上げました。

2021年4-6月期決算もポジティブサプライズが続いている

調査会社リフィニティブの集計によれば、7月23日までにS&P 500 指数構成企業のうち120社が2021年4-6月期の決算発表を終えました。このうち84.2%の企業で売上高について、88.3%の企業で純利益について、決算実績が事前のアナリスト予想を上回るポジティブサプライズとなりました。

2021年4-6月期決算のポジティブサプライズ比率

(注1) ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。
(注2) 直近4四半期平均とは2020年4-6月期~2021年1-3月期。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。
(注3) リフィニティブによる2021年7月23日(売上高について120社、純利益について120社が発表)時点の集計。
(出所) リフィニティブより野村證券投資情報部作成

業績予想の上方修正が続いている

ポジティブサプライズが多数を占めている結果、米主要企業の業績予想は7月9日から7月23日の間にも上方修正が続いています。

S&P 500 指数構成企業の一株当たり利益(EPS)の推移

<7月9日時点>

<7月23日時点>

(注)予想はリフィニティブによる2021年7月23日時点の集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成

不自然な業績予想からはポジティブサプライズが株価を押し上げることは十分予想された

 先週半ば以降の米株式市場の上昇の背景には、上記のような業績予想の上方修正があると推察されます。

 こうしたことは、決算発表直前の7月9日時点である程度見えていたと言えます。2021年4-6月期の業績予想は45.21ドルと、直前の1-3月期の49.13ドルよりも減少する予想となっていたからです。2014年以降の期間においては、4-6月期が1-3月期を下回ったのは、新型コロナウイルスの感染拡大の直撃を受けた2020年のみです。一方、足元の米国経済はコロナ禍の混乱から回復し、拡大に向かっている局面であり、減益は不自然と言えました。上記のような予想となっていた要因としては、2021年4-6月期以降について、アナリスト達の業績予想の見直しが追い付いていなかったことが一因と見られます。

2021年4-6月期EPS予想は大幅に上方修正されている

 前述の通り、2021年4-6月期決算はポジティブサプライズが続いていることから、先週末、23日時点のリフィニティブの集計では、下図にある通り2021年4-6月期の四半期EPS予想は47.43ドルまで引き上げられています。

S&P 500 企業の四半期EPS(一株当たり利益)の推移(7月23日時点)

今後のチェックポイント

 上記の点を踏まえますと、これから多数発表される米企業の2021年4-6月期決算発表では、決算実績や会社業績見通しが市場予想平均を上回るポジティブサプライズの状態が続き、2021年4-6月期のEPSが2021年1-3月期の水準を上回る、これまでの業績パターンに沿った形にまで上方修正されるかが、一つのチェックポイントと考えます。

 そしてこのようなポジティブサプライズが続けば、年度ベースでの米主要企業の業績予想の上方修正も続き、米国株式市場も上昇傾向となると予想されます。

決算発表に際しては、決算内容と成長ストーリーを見極めたい

 なお、米国時間27日にはアップルアルファベットマイクロソフトが、28日にはフェイスブック、29日にはアマゾン・ドットコムが決算発表を予定しています。これら企業の株価は先週以降、好業績に対する期待から上昇しています。このため企業によっては、決算実績や今後の会社見通しが事前の市場予想平均を下回ったりすると、株価が大きく下落するということはあるかもしれません。

 しかし、当該企業の成長ストーリーの見方を変える必要がなければ、投資判断も変える必要はありません。企業毎の成長ストーリーや業績動向を見極めたいと考えます。

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